日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
症例報告
虫垂炎および肝膿瘍を発症した赤痢アメーバ症の1例
阪本 達也田端 正己藤村 侑前田 光貴大澤 一郎加藤 憲治岩田 真三田 孝行
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 15 巻 6 号 p. 678-682

詳細
抄録

虫垂炎および肝膿瘍を発症した赤痢アメーバ症の1例を報告する。症例は45歳男性。入院5日前に発熱を主訴に近医を受診,抗菌薬を処方されたが改善なく,当院を紹介された。体温38.1℃,WBCおよび CRPが上昇していた。腹部 CTでは虫垂は腫大し壁は良く造影された。また,肝前上区域に径60mm大の低濃度腫瘤が認められた。虫垂炎および肝膿瘍の診断で,スルバクタム /セフォペラゾン4g/日投与を開始したが解熱なく,入院4日目にタゾバクタム /ピペラシリン13.5g/日に変更するとともに,エコー下肝膿瘍ドレナージを施行した。しかし,改善傾向なく,入院6日目,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。また,抗菌薬が無効なことからアメーバ性虫垂炎を強く疑い,術翌日からメトロニダゾールの内服を開始した。以後,次第に解熱し,10日間で MNZの投与を中止,第18病日に軽快退院した。赤痢アメーバ抗体は400倍と陽性で,摘出した虫垂からは赤痢アメーバ虫体が同定された。

著者関連情報
© 2018, 一般社団法人 日本外科感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top