2023 年 20 巻 1 号 p. 2-11
遺伝子検査は医療法上では「遺伝子関連検査」と呼ばれており,病原体核酸検査,ヒト体細胞遺伝子検査,生殖細胞系列遺伝子検査(遺伝学的検査)に3分類される。国内における遺伝子関連検査の中では,新型コロナウイルス感染症におけるPCR検査などの核酸増幅検査の重要性が再認識された。中でもゲノム医療はがん領域の包括的遺伝子解析が先行して保険収載されている。今後は難病や生殖医療などでも保険診療が予定されている。本稿では「外科医が知っておきたい遺伝子検査の活用法と今後の展望」について概説する。次世代シークエンサー(next generation sequencing:NGS)が日常の診療現場に導入されているが基本的な診療上の注意点や考え方は遺伝子関連検査で共通である。実臨床ではPrecision Medicineの実現に不可欠なゲノム情報に関連する法令やガイドラインの理解は外科医を含むすべての医療従事者に求められるようになっている。外科医にとって必要な今後の展望や課題についても記載した。