日本プライマリ・ケア連合学会誌
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ジェネラリストに学ぶ診断推論
診断推論の具体例 : 腹痛の症例を例に
田中 和豊
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2011 年 34 巻 2 号 p. 164-166

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抄録

 診断推論の具体例を考えるために腹痛の2症例を考える. 第1の症例は軽症例で, commonな疾患を考えながら, 仮説演繹法による分析的アプローチを行い, 「時間の軸」も考慮してマネジメントする. 第2の症例は重症例で, commonな疾患を念頭に置き, 「アウトカムの軸」を主な軸としてマネジメントする. この2症例ではその症例の重症度に合わせて, 問診・診察・検査の一つひとつの情報に対して, 「頻度・確率の軸」「アウトカムの軸」「時間の軸」の3つの軸を考えて診療している. この診療方法は, 単に問診と身体所見から決めつけ診断するのではなく, かといってあたりかまわずに絨毯爆撃的な検査をするのでもない. この診療方法は診療のそれぞれの局面で必要十分な検査を考えてマネジメントしている. この診断推論に則った診療こそが, 無駄な検査や治療を回避して患者にとって安全でかつ医療者にとっても効率的な最善の診療につながると筆者は考えている.

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© 2011 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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