日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
地域基盤型診療所看護師が看護実践を行ううえでの肯定的要素
今藤 潤子大西 弘高グライナー 智恵子
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2014 年 37 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

目的 : 地域基盤型診療所で働く看護師が看護実践を行う上での肯定的要素を明らかにする.
方法 : 関東の無床地域基盤型診療所にて働く看護師6名への半構造的面接. 木下のM-GTA手法を用い分析を行った.
結果 : 看護師は, 患者・家族・地域との関わりから【総合的に看ることで全人的ケアができている実感】を持っていた. また【ワークライフバランスの調和】を取りながら, 自らの【看護師の人生経験の有用性】を認識し, 【地域の包括的看護実践者としての自負と開拓精神】が組み込まれていた. 【診療所内での主体的立場】も感じているものの, 【ケアの恊働性】を抱きながら【地域医療福祉とのチームアプローチ】の意義を実感しており, これらが地域基盤型診療所で働く肯定的要素としてあげられた.
結論 : 地域基盤型診療所は地域指向性や家族指向性といった専門性から, 看護師が持つ全人的ケアを行いやすい職場であることが明らかにされた. また, 看護師が主体性をもって働き, 豊かな発想で取り組みを行えること, 家庭医と恊働性をもって学び合える環境にあるなどの肯定的要素があり, 病院や保健所, 他の医療施設とも異なる魅力をもつ看護分野であることが示された. 地域で継続性をもってケアができ, 今後入院から在宅へと医療体制がシフトしていく中で, 地域基盤型診療所は期待される看護分野である.

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© 2014 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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