日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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原著(研究)
全国がん登録における診療所からのがん登録の重要性に関する検討
─症例蓄積研修
雨森 正記大原 紗矢香中村 琢弥松原 英俊服部 昌和
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キーワード: がん登録, 診療所, 悉皆性
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2016 年 39 巻 2 号 p. 106-110

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抄録
目的 : 診療所が全国がん登録に参加しなかった場合に, 登録漏れになる可能性のあるがん患者の頻度と, 患者背景をさぐることを目的とした.
方法 : 本研究は症例蓄積研修である. 26年間に竜王町国民健康保険診療所, 医療法人社団弓削メディカルクリニックで発見し, 滋賀県がん登録に報告したがん患者の症例蓄積から, 診療所での登録がなければ, がん登録から漏れる可能性のある患者の抽出を行い, その背景について検討した.
結果 : 報告したがん患者は441例であった. そのうち入院しなかった患者は, 28例 (6.3%) あり, それらの患者は, がん登録から漏れる可能性があると考えられた. その内訳は, 発見時にすでに進行した状態の高齢者で入院せずに在宅看取りが行われた例が10例, 診療所で治療が完結した (内視鏡下で切除) 例が2例, 病院の外来での診察のみで入院することなく在宅看取りが行われた例が12例, 病院には外来受診, 入院することなくCT検査のみ施行され在宅での看取りが行われた例が4例であった.
結論 : 外来で治療を完結する可能性のある疾患を扱っている専門診療所や, 在宅医療でがん患者の看取りを行っている診療所は, 全国がん登録事業に参加すべきである.
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© 2016 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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