抄録
目的 : 臓器不全のない非がん高齢者終末期の予後に影響する要因の検討
対象および方法 : 2011年10月1日から30ヶ月の間に当院医療療養病棟にて, 終日臥床状態で軽度意識障害があり経口摂取が不可能でかつ臓器不全を伴わない非がん高齢者のうち, 皮下輸液および血液検査をおこなってその後死亡した36例を対象とした. 後ろ向きに輸液開始より死亡迄の日数 (予後) を算出し, 予後に影響する血液検査結果を中心に検討した.
結果 : 平均年齢は85.1歳, 男女比は19 : 17. 基礎疾患は認知症 (21例) , 老衰 (8例) , パーキンソン病 (4例) , 多発性脳梗塞 (3例) であった. 予後は中央値31日で平均34.9日であった. 血液検査結果と予後との関係では, 単相関でも重回帰解析でも統計的に有意な要因はなかった. しかし, 血清アルブミン値3g/dl未満群 (24例) では3g/dl以上群 (5例) に比べ有意 (p=0.001) に予後が短かった (27日vs 61日) .
結論 : 上記対象症例の予後予測は困難であるが, 血清アルブミン値がその指標の一つとなる可能性がある.