2018 年 41 巻 1 号 p. 8-14
目的:介護老人保健施設(老健)の脳卒中後うつ病(PSD)状態にある入所者に対して認知リハビリテーション(リハ)を実施し,抑うつに対する治療効果を検討した.また,認知機能,ADL,QOLへどのような影響を及ぼすのか検討した.さらに,リハに対する顧客満足度への認知リハの影響も検討した.
方法:茨城県内の老健入所者で,PSD状態にある8名を対象とした.通常のリハに加えて,認知リハを週3回,20分/回,12週間実施した.主要評価項目は,老年期うつ病評価尺度(15項目)(GDS),Zung Self Depression Scale(SDS),脳卒中うつスケール(JSS-D),前頭葉機能検査(FAB)を用いて実施した.副次的評価項目は,QOL評価にはSF-8を用い,顧客満足度については,リハに対する顧客満足度を用いて調査した.これらの評価は,認知リハ実施前後で実施した.
結果:GDS,SDS,JSS-D,FAB得点の向上が認められ,介入前と比較して有意な差が得られた.また,QOL,リハに対する顧客満足度総合得点に有意な改善を示した.
結論:今回行った認知リハは,抑うつに一定の効果があった可能性があり,その機構は,前頭葉機能の賦活を介しているのではないだろうか.