日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
鼠径部痛が主訴であった化膿性恥骨骨髄炎の1例
山賀 紗織尾﨑 青芽野本 優二矢部 正浩
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2019 年 42 巻 1 号 p. 49-51

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抄録

化膿性恥骨骨髄炎は化膿性骨髄炎の中でも稀な疾患で,典型的には恥骨部の自発痛や圧痛を伴う.今回,恥骨部の自発痛や圧痛がなく鼠径部痛が主訴であった化膿性恥骨骨髄炎の1例を経験したので報告する.症例は81歳女性.子宮頸癌放射線治療後の後遺症で膣直腸瘻があり,尿閉のため尿道カテーテル留置中であった.2か月前に菌血症を認められ,尿路感染症として2週間の抗菌薬治療を受けた.この時は両側鼠径部痛を訴えていたが,その後左に限局した.左鼠径部痛の原因精査で当科を受診した.Computed Tomographyにて恥骨結合周囲の脂肪織濃度上昇と液体貯留を認め,Magnetic Resonance Imagingで恥骨骨髄炎と診断した.アンピシリン6 g/日の投与を行ったところ左鼠径部痛は軽快した.感染経路と関連が疑われた膣直腸瘻に対して大腸ストマ増設術を施行された.その後1年以上再発なく経過している.

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© 2019 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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