日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
保健医療福祉専門職の関係性や問題の認識は対話を通じてどう変わっていくのか?:複雑性の理論的枠組みを用いた医療過疎地の在宅医療推進プロセスを探索する質的記述的研究
細井 崇弘阪本 直人春田 淳志前野 哲博
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2019 年 42 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

目的:医療資源の限られた地域で働く多職種は,どのような関係性の認識の中で在宅医療の問題をどのように認識しているか,そしてそれがどのように変容するかを明らかにする.

方法:茨城県K市で働く多職種が在宅医療について主体的に話し合う場を提供し,その会議内容を逐語録化しテーマ分析を行った.

結果:多職種は互いの関係性を階層構造の中で捉えるフェーズから,対話を通じて相互理解が深化する関係,ホラクラシーを理想とする考えが共有できる関係と変容する中で,在宅医療の問題を他人事の問題から自分事,地域全体の問題へと考えるようになった.

結論:在宅医療推進に関わる問題は複雑であり,課題の共有や解決策を模索するだけでなく,問題に関わる多職種の関係性の変容が必要である.対話を通じて各専門職の関係性が変わることで,在宅医療不足の問題を自らの地域の問題として捉え,主体的に解決策を模索するようになることが明らかになった.

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© 2019 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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