2021 年 44 巻 2 号 p. 45-52
目的:軽度認知症者の終末期医療に関する意向の実態と家族介護者の医療選択の意向との相違を明らかにすることを目的とした.
方法:認知症疾患医療センターに通院中の軽度認知症及び軽度認知障害の患者とその介護者54組を対象に,終末期医療の意向に関する聞き取り調査を行った.
結果:有効回答50組(100人)を分析した.患者のうち終末期に「肺炎時の抗生剤の服薬・点滴」を望む者は48%,「中心静脈栄養」を望む者は22%,「蘇生処置」を望む者は16%であった.各医療項目の「望む」/「望まない」における患者と介護者の意向が一致した割合は0~76%であった.患者家族間で終末期医療に関する話し合いをしていた方が,「蘇生処置」に対する意向が一致した割合が高かった.
結論:患者と家族にとって後悔の少ない選択ができるよう,軽症のうちから終末期医療について繰り返し話し合うための支援が重要と考える.