言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
特集 生成文法――移動現象をめぐって――
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宮川 繁
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2017 年 152 巻 p. 1-29

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抄録

Chomsky(1977)は,CPの上にトピックのための特別なポジションがあると議論したが,本論文ではこの考え方をいくつかの観点から考察する。まず第1に,英語,日本語,スペイン語の3言語において,いわゆるAboutness topicがこのポジションに入ることを示す。第2に,このトピック・ポジションは主節では自由に現れるが,従属節ではHooper and Thompson(1973)によって特定されたある種の述語としか共起しないことを示す。Villalta(2008)のスペイン語の仮定法の分析に基づき,トピック・ポジションの従属節における制限を,従属節とそれを選択する述語の意味的特性から説明する。最後に,いわゆるContrastive topicとFamiliar topicの分布が言語によって異なることを示し,この言語間のバリエーションがStrong Uniformity(Miyagawa 2010, 2017)から予測できることを指摘する。

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© 日本言語学会, 著者
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