言語研究
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指定文の分析において「中核名詞句」なる概念はどこまで妥当か
――西垣内(2016)に対する批判的検討――
西山 佑司西川 賢哉
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2018 年 154 巻 p. 177-204

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抄録

指定文およびカキ料理構文を,内項と外項をとる「中核名詞句」から派生しようとする西垣内(2016)の分析を批判的に検討する。西垣内の分析には,(i)外項を要求しない指定文をこの枠組みでは説明できない,(ii)指定文に課せられた条件「過不足なく指定する」は妥当ではない,(iii)西垣内の提案する「談話演算子」なる概念装置は誤った予測をする,(iv)中核名詞句に基づく逆行束縛現象の分析は一般性を欠く,という問題があることを指摘する。そして,指定文およびカキ料理構文の分析には西山(2003)の言う「変項名詞句」なる概念が重要な役割を果たすこと,カキ料理構文の十全な分析には,飽和性を語から句にまで拡張する必要があることなどを論じる。

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© 日本言語学会, 著者
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