言語研究
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論文
日韓中の「切る・割る」事象における語彙カテゴリー化の対照研究
洪 春子
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2020 年 158 巻 p. 63-89

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抄録

本研究では,階層クラスター分析を用いて,日本語・韓国語・中国語の「切る・割る」事象における語彙カテゴリー化の共通性と多様性を分析した。日本語・韓国語・中国語の母語話者に対して産出実験を行った結果,語彙カテゴリー化に関わる基準として3言語に共通するのは,裁断面の予測可能性と物の特徴であった。一方で,3言語の「切る・割る」系動詞の数,意味範囲,語を区別する基準には違いも見られた。このことから,動詞の語彙カテゴリー化には人間共通の認知や知覚による普遍性が見られる一方で,各言語の文字体系,形態統語的特徴,物の分類様式などにより,動詞の語彙カテゴリー化のあり方が異なることがわかった。

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© 日本言語学会, 著者
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