言語研究
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項の具現化に関する語彙的な意味の役割
日本語の二重目的語動詞
岸本 秀樹
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2001 年 2001 巻 120 号 p. 35-65

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抄録

本論文では,日本語の二重目的語動詞の「に」格名詞が統語的に(項としての)間接目的語として具現化されるものと(付加詞としての)与格名詞として具現化されるものの二つに大きく分かれることを示し,その具現化は,動詞の語彙的な意味によて決定されると論じる.具体的には,日本語の二重目的語動詞が所有変化あるいは位置変化を表すか否かによって,三つのグループ(所有変化のみを表すもの,位置変化のみを表すもの,そして所有変化及び位置変化を表すもの)に分類し,これらの動詞の語彙の意味と「に」格名詞の受け身化に関する振る舞いから,二重目的語動詞が所有変化のみを表す場合には,「に」格名詞は間接目的語として具現化され,二重目的語動詞が位置変化を表す場合には,その動詞が所有変化を表しているか否かに関わらず,与格名詞として具現化されることを示す.

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