源流
Print ISSN : 1345-3610
特集
流動するナノ世界
=== スーパーセラミックスへの挑戦 ===
若井 史博
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2001 年 2001 巻 3 号 p. 1-6

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抄録

炭化ケイ素や窒化ケイ素などの共有結合性セラミックスは、強固な共有結合性原子ユニットが規則配列した結晶からできており、ダイヤモンドに匹敵する硬さと卓越した高温強度をもつが、ほとんど変形せずに破壊する脆性材料である。ところが、結晶粒をナノメートルスケールまで微細化することにより、高温で巨大な伸びを示す能力、すなわち、超塑性という新しい物性が実現できた。これは粒界での原子ユニットの流動により、微細結晶粒自体が相互に運動するためである。一方、結晶粒微細化の極限はアモルファスである。ユニークな構造をもつ新しいタイプの共有結合性アモルファスやナノ結晶セラミックスのバルク体が、プレカーサー・プロセッシングにより合成できるようになり、新しい高温構造材料としての共有結合性アモルファスの物性に関する研究領域が切り開かれた。

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