主催: 日本地球化学会
共催: 日本化学会
浮遊性有孔虫がどの水深、水温で殻を形成したかを知ることは、化石情報から古水温を推測する上で極めて重要である。我々は沖縄周辺海域でプランクトンネット観測を行い、現生浮遊性有孔虫を集中的に採取し、安定同位体および微量金属元素分析を行った。各水深に生息していたG. sacculifer のMg/Caの鉛直分布は、水柱の水温14?27℃の間で2.1?3.7 mmol/molを示した。この種の各層における酸素同位体比の鉛直分布は、表層から水深約100m付近まで徐々に重くなるが、100m以深でほぼ一定の値を示した。これらのことより、G. sacculiferのMg/Ca比は表層ー水深100mまでの水深(水温)の情報を記録していることが示唆される。両トレーサーを用いた水温復元は、水温指標としてのMg/Caの精度を向上させる上で必須である。