日本地球化学会年会要旨集
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G1 大気とその境界面における地球化学
  • 森本 真司, 梅澤 拓, 後藤 大輔, 藤田 遼, 菅原 敏, 青木 周司, 中澤 高清
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 1-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    地球表層における現在の温室効果気体の循環を明らかにすることは、将来の濃度予測の高度化にとって極めて重要である。我々は、大気中の温室効果気体および関連気体の分布と変動を把握し、その変動原因を明らかにすることを目的として、国内外の研究機関と連携して長期的かつ多地点での大気観測を実施している。観測には、地上基地、航空機、船舶、大気球といった多様な観測プラットフォームを活用し、大気採取観測と現地連続観測を組み合わせることによって、広域における様々な時間スケールの変動を明らかにしている。温室効果気体の濃度に加えて、それらの安定同位体比や関連気体についても長期観測を維持し、温室効果気体の放出・吸収源変動に関する情報も得てきた。本講演では、これらの観測の具体例を紹介すると共に、得られた観測データの一部を紹介する。

  • 井上 誠, 永吉 武志, 山下 陽介
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 2-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    これまで、上空における大気中の物質の観測には気球やタワー、航空機などが用いられ、大気化学分野では多くの重要な知見が得られてきた。しかし近年、様々な地点の大気層を安価かつ手軽に観測できる手段としてドローンが注目され始めている。本講演では、秋田県立大学で開発されたドローンシステムを用いて観測された温室効果ガスと大気汚染物質の分布の特徴について報告する。 温室効果ガスのひとつである二酸化炭素(CO2)を観測するために、大潟村において地上から500 mまでの飛行観測を実施した。その結果、夏季には上空よりも地上付近でCO2濃度が低くなり、寒候期にはこのCO2濃度の鉛直勾配が小さくなる傾向がみられた。植生の豊富な夏季に光合成が活発化し、地上付近でCO2の吸収が起きていると考えられる。続いて3つの高度におけるCO2の水平濃度分布を調べた結果、夏季~初秋の方が、冬季・春季に比べて9地点間のバラツキが大きかった。このような季節性がみられる理由には、気圧配置および風の吹き方の違いが関わっていることが示唆された。 次に、エアロゾルの一種であるブラックカーボン(BC)の観測例も報告する。ドローン観測の際、プロペラの回転がBC濃度算出に与える影響を調べる必要があるため、線香を使って大気の流れを可視化する実験を行った。その結果、プロペラの回転による影響を無視できる高さに大気吸入口を設定し、2023年12月に大潟キャンパス上空で観測を行った。地上付近のBC濃度に比べて、上空ほど低くなることが分かった。

  • 丸本 幸治, 多田 雄哉, 濵﨑 恒二, 岩本 洋子, 竹田 一彦
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 3-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    瀬戸内海東部を対象海域として、これまでデータがほとんどない海洋表層マイクロレイヤーの水銀の形態と濃度について調べた。その結果、マイクロレイヤー層の総水銀、メチル水銀の濃度は直下の海水中濃度に比べて高かったが、その他の地点の表層海水の濃度の方が高い場合もあった。一方、マイクロレイヤー層の溶存ガス状水銀濃度は直下の海水や他の表層海水よりも2.6~29倍高いことがわかった。溶存ガス状水銀は大気―海表面間の水銀交換のパラメータとして重要であるため、今後データを蓄積していく必要がある。

  • 方 正陽, 宮﨑 雄三, 立花 英里, 吉田 瞳, 岩本 勉之, 片倉 靖次
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 4-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    Marine organic aerosol (OA) affects the local climate through direct aerosol-radiation interactions and by altering the cloud properties. The Sea of Okhotsk is one of the most biologically productive oceans, especially during spring bloom period, which is expected to act as a huge source of OA. However, origin and formation process of OA in that oceanic region are not well understood. Continuous ground-based sampling of submicrometer aerosols was conducted, at a coastal site of the southern Sea of Okhotsk, in Mombetsu from August 2023 to March 2025. During the spring bloom in March and April 2024, submicrometer aerosol was dominated by organic matter (OM) (46±18%), followed by sulfate (30±10%). OM was highly water-soluble and overall analysis by stable carbon isotope ratios and molecular tracers in aerosols suggested that aerosol water-soluble organic carbon (WSOC) was attributable to marine secondary OAs associated with α-pinene and dimethyl sulfide in that oceanic region during the bloom.

  • 宮本 知治
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 5-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    本研究では2013年以降の脊振山頂で継続採取している雨水の化学組成の季節変化・年変化を解析し、大気中における元素の挙動を考察する。降水中に含まれる無機元素の濃度は冬季から春季に増加し、夏季から秋季にかけては減少した。濃度が高く季節変化も明瞭な元素はClとNaで、そのvは海水とほぼ同じであった。雨水中に含まれるNa・Clは海水の影響が強いと考えられる。Mg濃度もClと概ね正の相関を示すが、そのMg/Cl比は一般的に海水組成よりもやや高い。一方、雨水中に含まれるSO4濃度も季節変化するが、そのSO4/Cl比は海水の組成比より高い。これは大気中に含まれる硫黄酸化物の溶解に由来すると考えられる。NO3濃度も2020年は通年で存在度が低いものの季節変化著しい。このSO4・NO3濃度が高い降水中には溶存元素が多い。SO4・NO3の影響で、降水中に取り込まれた物質の一部が溶解していると考えられる。

  • 伊藤 彰記, 栗栖 美菜子, 長島 佳菜
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 6-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    鉱物起源、人為起源、および森林火災起源のエアロゾルは、植物プランクトンの成長にとって重要な栄養塩(鉄)を供給する。それにより、植物プランクトンを起点とした食物連鎖を通して海洋生態系および気候へ影響を与える。しかし、鉄(Fe)を運ぶエアロゾルの発生源固有の評価が十分になされていない。そのため、それらの発生源の寄与率推定には多大な不確実性が存在する。本発表では、北太平洋域で船舶を活用し捕集したエアロゾルおよび海水濾過試料の観測データを用いて、数値モデルで予測される発生源の寄与を評価する。特に、エアロゾル中微量金属(Fe, Al, Ti, V, Mn, Cu, Zn, Pb)とダスト(石英)を中心に報告する。大気化学輸送モデルとしては、IMPACTモデルを用いた。人為および森林火災起源の排出量には、発生源データを用いて、鉱物起源の発生量は気象条件を考慮して推定した。数値モデルの評価として、北太平洋において、船舶を活用し捕集したエアロゾルおよび海水濾過試料の観測データを解析に使用した。 また、過去の研究によりまとめられた船舶による観測データも用いた。IMPACTモデルは、北太平洋への石英個別粒子観測を基に推定されているダスト沈着フラックスをより良く再現した。また、IMPACTモデルは、北太平洋上空における粗大粒子の石英含有量観測データをよく再現した。さらに、IMPACTモデルは、粒径区分されていない水溶性鉄濃度の再現性が良かった。微小粒子において、鉄安定同位体比により推定された人為起源鉄と自然起源鉄の寄与率にも良い一致を示していた。このことは、モデルによる予測再現性の良さを示す。発表では、人為起源鉄発生量の改善に関して議論する。

  • 橋本 伸哉, 奥田 祐樹, 山下 隼人
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 7-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    ブロモホルム(CHBr₃)は海洋から大気へ臭素を運び、オゾン層破壊に関与する。植物プランクトンはその生成源、海洋細菌は分解源とされるが、温度の影響は十分に研究されていない。本研究では、珪藻Ditylum brightwelliiと2種の細菌(Phaeobacter gallaeciensis、Pseudomonas属)を用い、温度がCHBr₃の生成・分解に与える影響を調べた。実験の結果から、生成速度と分解速度の両方が温度とともに変化し、特に20~25°CでCHBr₃の残存量が高くなることが示された。将来の表層の海水温の上昇はCHBr₃濃度の増加を引き起こす可能性があり、その影響は共存する微生物種に依存することが示唆された。

  • 阮 文鏵, 中川 書子, 織田 舞保, 三歩一 孝, 山神 真紀子, 角皆 潤
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 8-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    対流圏オゾンは、温室効果ガスであると同時に光化学オキシダントとして大気の酸化力をコントロールしている物質であり、その増減は大気環境や生態系に多大な影響を及ぼしている。対流圏オゾンは、主に一酸化窒素と過酸化ラジカルとの反応で生成した二酸化窒素が光解離する過程で生成することから、二酸化窒素の生成過程を把握しないと、対流圏オゾンがどこでどのように生成・消滅しているのかを定量的に理解することができない。本研究は、都市大気中の一酸化窒素および二酸化窒素の三酸素安定同位体組成を実測し、大気中の二酸化窒素の生成過程を定量的に判別することにより、正味のオゾン生成速度を見積もることを試みたので報告する。

  • ZANDVAKILI, ZAHRA, Suzuki Katsuhiko, Kikuchi Junko, Takagai Yoshitaka
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 9-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    私たちは、アイソトープ希釈-全蒸発法(ID-TE)と負の熱イオン化質量分析法(NTI-MS)を組み合わせた、サブナノグラムレベルでの精密なホウ素同位体比分析および定量のための高感度な分析法を開発しました。TRITON NTI-MSを用いてBO2⁻イオンを検出しホウ素同位体比を測定した結果、公認標準値と一致し、優れた再現性(RSD = 0.44%、n = 24)を示しました。強い相関関係により本法の正確性が確認され、検出限界は0.09ピコグラムと評価されました。本手法は、地質学的、生物学的、環境的および原子力関連試料における正確なホウ素同位体および濃度分析に大きな可能性を有しています。

  • ZANDVAKILI, ZAHRA, Suzuki Katsuhiko, Tanaka Asuka, Takagai Yoshitaka
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 10-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    我々は、負熱イオン化質量分析法(NTI-MS)と全蒸発法および同位体希釈法を組み合わせて、原子力発電所廃液中の放射性³⁶Clの高感度かつ高精度な定量分析手法を開発しました。測定の正確性を確保するために、NIST標準試料を用いて全蒸発法により安定塩素同位体比(³⁵Cl/³⁷Cl)を測定し、同位体分別を最小限に抑えました。熱イオン化を促進するために、徹底的に脱ガス処理を施したレニウムフィラメントにバリウムをロードし、マルチコレクターNTI-MSで³⁵Cl、³⁶Cl、³⁷Clを同時に測定しました。本手法は、複雑な環境試料中のナノグラムレベルの同位体分析に適し、高い再現性で³⁶Clの安定した検出を実現しました。

  • 渡辺 泰士, 出牛 真, 行本 誠史, 足立 恭将, 保坂 征宏, 辻野 博之
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 11-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    森林火災は植生の分布や炭素収支に影響を与えるほか、大気汚染物質の放出源となるため物質循環や大気化学に短期的に大きな擾乱をもたらす可能性がある。本研究では動的植生-森林火災モデルLPJ-LMfire (Pfeiffer et al., 2013)をもとに、日別の気象データを入力として駆動できるモデルを開発し、1948年から2014年の森林火災の分布や規模を推定した。この期間の森林火災に伴う二酸化炭素や大気汚染物質の放出速度はエルニーニョ-南方振動(ENSO)に伴う降水量変化に呼応する明瞭な経年変化を示した。

  • 高矢 怜菜, 豊田 栄, 小田 智基, 岩上 翔, 藤井 一至
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 12-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    N2Oは強力な温室効果ガスであり, その放出・吸収メカニズムの解明が求められている. 本研究では温帯針葉樹林において伐採がN2O放出に与える影響を調べた. 茨城県常陸太田森林試験地で伐採区 (HA) と未伐採区 (HV) それぞれで, 2024年6, 10月, 2025年6月にチャンバー法を用いて, N2Oフラックスと土壌起源N2O同位体比を求め, 地温, 気温, 水飽和度 (WFPS) の測定もした. 6月のHAではHVよりも温度が高く, WFPSは低かった. N2OフラックスはHAとHVで明確な違いはないものの, 観測点により異なる傾向を示した. 一部の観測点では地温とN2Oフラックスに負の相関がみられ, 硝化優勢を示す同位体比の結果から, 温度が硝化や脱窒に対して影響を及ぼしていると考えられた. 今後は土壌インキュベーション実験により観測点ごとの温度とN2O放出の関係をさらに検討する予定である.

  • 佐々木 郁弥, 神谷 駿介, 渡邉 聡太朗, 山田 桂太, 豊田 栄
    専門分野: G01 大気とその境界面における地球化学
    p. 13-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    燃料として水素の使用量が増えるに伴い、大気中への水素放出量が増えると予想される。大気中の水素が増加すると、その分解反応や生成物を介して対流圏では間接的な温暖化、成層圏では間接的なオゾン層破壊を助長することが懸念される。水素の循環を解明する上で、安定同位体比は試料の発生源や消滅源についての情報が得られることから有用である。しかし清浄大気中の水素濃度は約500 ppbと低いため、安定同位体比の分析には水素の濃縮が必要である。本研究では、従来法に比べて簡便な方法で水素同位体比を測定する方法の開発を目的とした。大気試料の分析には3段階の濃縮を想定し、まず2段階の濃縮条件の検討を行った。検出できた最少の水素量は9 nmolであった。この結果に基づくと清浄大気試料は最低でも400 mL必要になる。試料量が少ないほど分析時間が減り、水素の損失を減らすことができるため、検出感度の向上に今後取り組む予定である。

G2 環境地球化学・放射化学
  • 徳永 紘平, 高橋 嘉夫, 渡辺 勇輔, 香西 直文
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 14-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    原子力機構人形峠環境技術センターでは、旧ウラン鉱床を通ってウラン (U)が溶存した浅部地下水を鉱さいたい積場で一次処理している。鉱さいたい積場では天然の浄化作用により、地下水 (坑水)中のUは水酸化鉄等に吸着・共沈して堆積している。こうした天然の浄化システムにおいてUの固定及び、固定されていたUの溶出挙動を解明することは、表層近傍におけるアクチノイドの動きを理解する上で重要である。これまでに、人形峠センターの表層環境において堆積物中に多く含まれる鉄鉱物がU等元素の挙動に大きな影響を与えることを示す分析結果が得られた。一方で、鉄鉱物は土壌の酸化還元電位 (Eh)や酸性度 (pH)に応じて化学状態が変化するため、鉄鉱物に一度固定された元素がそのままの状態で保持され続けるとは限らない。そこで本研究では、鉱さいたい積場の浅地堆積物中のU濃度や価数・結合状態を、特にEh変化の観点から検討した結果を報告する。

  • 區 烺穎, 坂田 昂平, 高橋 嘉夫
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 15-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    Sulfate aerosols from atmospheric sulfite oxidation influence cloud condensation nuclei (CCN), weather, and climate. While gas- and aqueous-phase oxidants in this process are well studied, the role of solid-phase catalysts like clay minerals is less explored.This study mainly focuses on sulfite oxidation promoted by nontronite, with comparison to montmorillonite, which are both smectite clay minerals with large surface areas. Experiments were conducted under pH 5, with and without salinity (0.1M NaCl), monitoring sulfite concentration using UV-Vis spectrophotometry alongside XANES analysis.Results show that nontronite promotes sulfite oxidation, with salinity enhancing the reaction. These findings suggest clay minerals may act as heterogeneous catalysts in atmospheric sulfate formation.

  • 加藤 聖也, 淵田 茂司
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 16-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    鉱山で発生する坑廃水には高濃度のマンガン (Mn) と炭酸イオン (HCO3) が共存する場合がある。しかし炭酸イオンがMnの沈殿機構に与える影響は調査が不十分である。本研究では、A鉱山の廃水組成(pH 6.5, Mn: 70 mg/L, Ca: 600 mg/L, HCO3: 1000 mg/L)を参考に模擬廃水を作成し、中和試験と地球化学コードによる解析を通してMnの除去挙動を調査した。その結果、地球化学コードによる速度解析により、HCO3共存下ではMnの酸化反応は阻害され、炭酸マンガン (MnCO3) が速度プロセスを解して生成することがわかった。さらにCaと共存することでMnの炭酸塩生成は促進された。沈殿物の分析により、Caによる炭酸塩生成促進はCaxMn(1−x)CO3型固溶体生成によるものであると考察された。

  • 佐々木 暖人, 高見 佳, 浅井 雅人, 塚田 和明, 高久 雄一, 重河 優大, 山﨑 信哉, 坂口 綾
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 17-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    環境水中の人工放射性核種99Tc質量分析法確立を目指し、スパイク候補97Tcと化学分離トレーサー95mTcを同時に生成する核反応、およびこれら両核種の昇華法による分離法を検討した。93Nb+7Li反応により、得られた97Ru(97Tc)と95mTcの核反応断面積から、約60-20 MeVの照射エネルギー範囲で励起関数を作成した。また、昇華法により95mTcの分離が確認できたことで、95mTcトレーサーと97Tcスパイクを含む溶液を、99Tc濃度範囲や用途に合わせた95mTc/97Tc生成比で作製可能なことが示唆された。

  • 平口 敦基, Zheng Xiaojin, Underwood Thomas, 小林 恵太, 山口 瑛子, 板倉 充洋, 町田 昌彦, Ro ...
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 18-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    高レベル放射性核種の地層処分において、ベントナイトは陽イオンを吸着し核種移行を遅延させる。特にセシウムイオン(Cs+)は主成分モンモリロナイトに強く吸着するが、その吸着様態と吸着機構は未解明である。我々は古典分子動力学法を用いて、Cs+及びナトリウムイオン(Na+)のバルク水からNa型モンモリロナイト層間への吸着現象の自由エネルギープロファイルを計算し、これらの未解明問題に挑んだ。この計算により、Cs+は内圏錯体を、Na+は外圏錯体を形成し、Cs+がNa+よりもNa型モンモリロナイト層間に強く吸着することを初めて明確に示した。講演では、上記に加え、古典分子動力学法の基礎、自由エネルギープロファイルの物理的起源と吸着機構の詳細、実験との比較について述べる。

  • 周藤 俊雄, 丸本 幸治, 古荘 皓基, 板井 啓明
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 19-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    火山活動や人間活動により大気中へ放出された水銀 (Hg) は、湿性・乾性沈着を経て陸域や海洋に沈着する。近年、陸域から海洋への水銀輸送における河川の役割が注目され、河川による年間の輸送量が大気沈着に匹敵するという推定もある (Liu et al., 2021a, b)。海外では河川水中水銀濃度の支配要因を流域スケールの収支比較から推定する研究がある一方 (Domagalski et al., 2016; Scherbatskoy et al., 1998; Shanley et al., 2008)、日本の河川水中水銀濃度の観測データは北陸地域に限定されているため (大野ら, 2020)、列島スケールでの水銀収支は未解明な点が多い。さらに、海水中メチル水銀の供給源としての陸域の役割を調べるうえでは、河川水中水銀の化学形態別分析も重要である。本研究では、東日本に分布する主要河川を対象にサンプリングを実施し、溶存態水銀 (DHg)、粒子態水銀 (PHg)、総水銀 (THg)、溶存態モノメチル水銀 (MeHg) の濃度を定量するとともに、流域別水銀収支と海洋流出フラックスを試算した。河川水中の化学形態別水銀濃度 (平均±標準偏差) は、DHg: 0.68±0.40 ng/L、PHg: 1.78±2.78 ng/L、THg: 2.48±2.93 ng/L、MeHg: 6.1±4.4 pg/Lであった。DHgは河川間で変動が小さいこと、および河川水中HgはPHgが主要形態であることが示唆された (PHg/THg: 57.4±18.5%)。得られたTHgの平均値と年間流量から流域別に試算された海洋流出フラックスは1.9±2.2 μg/m2/yrであり、大気沈着に対する割合は12.6±10.9%であった。河川による日本列島から海洋への年間水銀流出量は、THgで0.95±0.15 t/yr、MeHgで2.0×10-3 t/yrと推定された。THgの海洋流出フラックスは、陸域への大気沈着(湿性沈着: 3.8±0.11 t/yr、乾性沈着: 3.0±1.0 t/yr)の14%であった。大気沈着とのフラックス差は、沈着後に再び揮発する水銀や、植生・土壌への蓄積による吸収・保持の影響が大きいと推察される。本研究で試算したTHg海洋流出フラックスは、Liu et al. (2021b) が推定した8.3±6.0 t/yrと比較すると、平均値比較では一桁程度低い値であった。Liuらは浮遊粒子濃度 (SS) を変数とした経験式からPHgと固液分配係数Kdを試算しているが、中国河川のSSが日本河川より高く (水質調査データ, 環境省)、Kdが低いために (大野ら, 2020より試算)、日本河川の海洋流出フラックスを過大評価していると考えられる。

  • 時枝 隆之, 木持 謙
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 20-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    富栄養状態にありながら大気に二酸化炭素を放出している千葉県手賀沼に存在する有機物の分解特性の調査を行った。その結果、COD(Mn)法で分解可能な化学的に分解されやすい有機物が手賀沼湖内で生産されていること、またバクテリアなどの分解者は化学的に分解されやすい有機物を優先的に分解・無機化していることがわかった、湖内での分解されやすい有機物が生産されていることで、富栄養を背景とした高い生物生産性がありながら、生産された有機物が速やかに再生される。その結果、無機炭素が不足することが大気への二酸化炭素の放出を可能にしているようである。

  • 藪崎 志穂, 柴崎 直明, 大内 啓輔, 橋本 大輝
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 21-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    仙台市宮城野区新浜地区の海岸近くに3本の観測井(10 m, 15m, 30 m)を設置して地下水や水質の測定を行ったところ,不圧地下水の10 m井と15 m井はNa-Cl型,被圧地下水の30 m井はNa-HCO3型であった。10~15 m深度では海水侵入の影響が認められ,また10 mと15 mの水質にはNa+やCa2+濃度に若干の違いがあった。海水侵入の詳細な状況把握や地下水の水質形成要因の解明を目的として,同地域で30 m深の不攪乱ボーリングコアを採取した(1 mごとに30本分)。コアの半分を5 cm深度ごとに切り分けて,遠心分離法により間隙水を抽出して,ECやpH,イオン濃度,酸素・水素安定同位体比の測定を行っている。本発表では,間隙水の水分量やECの鉛直分布,および間隙水の溶存無機成分の特徴について報告する。

  • 古荘 皓基, 板井 啓明
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 22-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    河川のケイ素安定同位体比は、海外では2000年代以降に報告が増えてきたが、国内河川では報告例がなかった。そのため、我々は2023年に東日本主要河川の網羅的ケイ素分析を実施し、ケイ素安定同位体比と流域の水田被覆率の間に正の相関が認められたことから、ケイ素安定同位体比が農業用水利用によるケイ素の土壌圏固定率指標になると考えた。本研究では、農業用水の利用率が高い鬼怒・小貝川流域を研究対象に、溶存ケイ酸濃度とケイ素安定同位体比について、季節変化の解析と、上流から下流への変化の解析を実施した。

  • 遠藤 康生, 古荘 皓基, 板井 啓明
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 23-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    湖沼におけるケイ素 (Si) 循環の理解は、陸水域の生物地球化学循環解析や、堆積物を用いた古環境解析において重要である。我々は、湖沼に対するSi収支の定量的評価を行うためには、同位体マスバランス解析が有効であると考えた。本研究では、古環境研究が推進されてきた琵琶湖において、湖水と流出入河川の溶存ケイ酸濃度の定量およびケイ素安定同位体比 (δ30Si) の分析を行った。δ30Siの分析に必要となる効率的なSi濃縮・精製法として、モリブデン酸トリエチルアミン共沈法と陰イオン交換樹脂によるマトリックスの分離法を検討中である。また、淡水―浮遊性生物間のケイ素同位体分別に関する研究例は海洋と比較してきわめて乏しいため、同位体分別係数の決定に向けた珪藻の生物性ケイ酸濃度の定量およびδ30Siの分析を進めている。

  • 田中 万也, 富田 純平, 徳永 紘平, 香西 直文
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 24-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    人形峠環境技術センターの鉱さいたい積場において、主に鉄水酸化物からなる堆積物とその周辺の坑水を採取し、それぞれRa-226濃度の分析を行った。堆積物と坑水の間の見かけのRa分配係数は、実験的に求められた分配係数よりも高く、堆積物中に鉄水酸化物以外のラジウムのホスト相が存在することを示唆した。XAFSスペクトル解析の結果、堆積物中にはMn(IV)が存在することが示されたことから、Mn(IV)酸化物がラジウムのホスト相になっている可能性がある。

  • 山口 瑛子, 髙橋 嘉夫, 奥村 雅彦
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 25-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    粘土鉱物は地球表層に広く存在し多くの陽イオンを吸着することから、様々な元素の環境挙動を支配している。その一つが福島第一原子力発電所の事故から放出された放射性セシウム(Cs)であり、粘土鉱物に強く吸着したため土壌表層に固定された。しかし、粘土鉱物の構造は複雑であるため、その吸着反応の詳細は未解明である。本研究では、粘土鉱物に吸着したCsの濃度に応じて吸着サイトが変化することに着目し、実験とシミュレーションを相補的に利用することで、幅広い吸着濃度範囲におけるミクロ構造の変化やCsの結合性を系統的に明らかにすることを目指した。その結果、Cs濃度が増加するにつれて吸着構造が変化する様子や、これらの変化に関わらずCsがイオン結合を形成していることがわかった。

  • 齊藤 天晴, 鏡味 沙耶, 横山 立憲, Gall Benoît, 日高 洋
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 26-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    ガボン共和国東部のFranceville堆積層群に産するウラン鉱床であるオクロ鉱床は、約20億年前に235Uの核分裂連鎖反応の臨界を経験した天然原子炉の化石として知られている。オクロ天然原子炉試料の同位体化学データはその核反応過程の基礎情報の推定に利用されてきたが、16の原子炉領域(RZ)のうち後期に発見されたRZ 10-16については分析データが乏しい。なかでもRZ 13は、238Uの核分裂反応率が他のRZよりも著しく高いと推定されており、特異な中性子環境下で臨界に達したと示唆される。本研究では、最新の分析技術を用いてオクロ試料の高精度同位体化学データを取得し、その核反応過程の新たな知見を得ることを目指す。本発表では、オクロ研究全盛期の1990年代当時は測定困難だったHf同位体が提供する熱外中性子情報に基づく、RZ 13とRZ 16の詳細な中性子スペクトル解析について紹介する。

  • 韓 正厳, 李 文帅, 高橋 嘉夫
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 27-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    海底堆積物中のセリウム(Ce)異常は、Ceの特異な酸化還元挙動に基づき、海洋のレドックス状態を示す重要な指標です。従来、Ce(III)の酸化は主にマンガン酸化物によって進行するとされてきましたが、他鉱物の役割はほとんど検討されていませんでした。本研究では、天然モンモリロナイト(SWy-3)が人工海水中でCe(III)をCe(IV)に酸化できることを明らかにしました。50 mgのSWy-3と0.5 μMのCe(III)を用いた実験において、24時間以内に約30%のCe(III)が酸化され、XANESおよびEXAFS解析でCe(IV)種の生成が確認されました。一方、淡水ではこの反応は起こりませんでした。この結果は、従来レドックス不活性とされてきた粘土鉱物も特定条件下でCe酸化に関与し得ることを示しています。熱水やテクトニック活動により海洋に供給される粘土鉱物がCe異常の形成に寄与する可能性があり、古環境の解釈に影響を与えることが考えられます。

  • 加藤 友朗, 鈴木 健太, 福田 涼, 中野 麗奈, 中口 譲
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 28-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    栄養段階における動物プランクトンから海洋哺乳類にかけて様々な水生生物によるマイクロプラスチック(MP)の取り込みが広く報告されている。魚類でも特に、ろ過摂食魚類は植物プランクトンや水中に懸濁している粒子を繊毛や剛毛の動きによって取り込むため、同時にMPを摂取する危険性がある。MPの中でも特にタイヤ摩耗粉塵Tire and Road Wear Particles(TRWP)の排出量は年間600万トンと言われ、TRWPそのものや浸出液を摂取してしまう特定の水生生物においては、毒性影響を及ぼす可能性が指摘されている。これらのTRWPは主に雨水とともにそれぞれの都市排水システムを通って河川へ、最終的に海洋に流れ込んでいると考えられているが、その環境水中のTRWPの実態についてはわかっていない。そこで本研究では環境中に存在しているTRWPの種類及び存在量について解明することを目的に研究を行った。

  • 中野 隼佑, 猪瀬 聡史, 小池 裕也
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 29-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    関東ローム層は、主に箱根火山や富士火山などから繰り返し噴出したスコリア、軽石、火山灰などの火山噴出物が堆積・風化して形成されたものである。スコリアは、噴出時のマグマの化学的特徴を比較的保持しているとされている。スコリア中に含有する鉄の分析によりマグマの化学状態を知ることが可能である。そこで本研究では、約 7 万年前以降に堆積した新期ローム中のスコリアを対象とし、含有する FeO に着目して吸光光度法により定量することで、マグマの酸化還元状態に関する情報を取得することを目的とした。新期ローム中の赤色系スコリアに含まれる FeO は既報の玄武岩中の FeO 含有量と比較して 2 倍程度高い値を示した。本発表では、赤色系と黒色系のスコリアそれぞれの FeO 含有量と全鉄量を測定し、その比率(Fe2O3 / FeO)を算出することで、南関東新期ロームの化学的風化の程度について考察する。

  • Guilfoyle Stephen, Palacz Zenon, Rousell David, Nelms Simon, 大橋 麻美
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 30-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    ウラン同位体比測定におけるMC-ICP-MSの利用は地球化学や地質年代学、原子力や核不拡散の分野において一般的であり、表面電離型質量分析(TIMS)に比べて高速であること、試料の前処理時間が短いことが特長である。一方、精度や正確さの面ではTIMSに軍配が上がるとされ、主にMC-ICP-MSのイオン化技術に特有の不確かさ、また定期的に必要な異なる検出器間のクロスキャリブレーションの制約などに因るとされている。本発表では、最新型MC-ICP-MSにて測定したウラン同位体比のデータを示す。優れた安定性のマスバイアスと高いアバンダンス感度をもつプロトタイプの装置で、Isotopx社独自のATONAテクノロジーを採用することにより極めて低い検出器ノイズと非常に高いダイナミックレンジを特長とする。さまざまなサンプルサイズで測定されたウラン同位体比は高精度で再現性が高く、ウランや他のアクチノイド分析におけるMC-ICP-MSの可能性を示した。

  • 栗林 千佳, 朝倉 由唯, 杉本 直人, 細野 高啓, 谷水 雅治
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 31-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    ウラン(U)は,地下水の酸化還元状態(Eh)に応じて安定な酸化数と溶存性が変化する.この変化に伴い,ウラン同位体比(234U/238U比)の値も変動することから,234U/238U比は地下水環境中のUの挙動を把握する指標として応用が期待されている.本研究では,研究例の少ない火砕流堆積物を主な帯水層とする地下水の234U/238U比について,熊本県阿蘇山西麓地域を対象に広域的な分布を調査したのち,Eh変化に伴う234U/238U比の変動性と,地下水中の溶存重金属元素の濃度との関係性について評価した.分析の結果,234U/238U比は先行研究で報告されている堆積岩を帯水層とする地下水と同程度の値をとり,地下水の流路ごとに特徴的な値を示した.また,234U/238U比はEh 約+150 mV,Fe濃度はEh 約+100 mV,As濃度はEh 約+50 mVを境に還元的な環境で値の上昇がみられたことから,234U/238U比は地下水環境中のUの移動性だけでなく,Asの移動性を評価する際のEhの把握にも有用であると考えられた.

  • 桑原 葵, 柴 裕太朗, 深海 雄介, 大野 剛
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 32-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    環境中に存在するウラン同位体には天然起源と人為起源の放射性核種が存在し、その同位体比は起源物質に強く依存するため、ウラン汚染源の推定や環境トレーサーとして用いられる。人為起源ウランの一種である劣化ウランは天然ウランに比べて235Uの割合が少ないという特徴を持ち、主に核実験、原子力関連施設、工業利用によって環境中へ放出される。特に、235U/238Uの減少と236U/238Uの増加が同時に観測されると、工業利用による影響であると知ることができる。本研究では前処理への信頼性の向上に加え、水素化物の低減化を図る脱溶媒試料導入装置であるAridusⅡと同位体の迅速分析が可能なICP-MS/MSを用いた分析法の確立を目的とした。得られた前処理法を用いて分析をおこなった、地域別の大気降下物中の人為起源ウラン同位体比についても報告する予定である。

  • 山中 遼太郎, 伊藤 茜, 谷水 雅治
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 33-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    陸水中の微量元素濃度は、無機イオンや有機物との相互作用によって大きく変動する。有機物の中でも腐植物質の一種であるフミン酸は、カルボキシ基やフェノール基など多様な官能基を有し、金属イオンとの錯形成を通じて微量元素の移動性や挙動に大きな影響を与える。特にフミン酸は酸性条件下で固相に保持される性質を持つことから、吸着挙動の変化が顕著であり、陸水環境における微量元素動態の理解に重要な意義をもつ。本研究では、pH 2~10の範囲および振とう時間 24~120時間の変動に伴うCr(III), Mn(II), Fe(III), Co(II), Ni(II), Cu(II), Zn(II), Pb(II)に対する吸着率の変化を評価した。その結果、FeはpH2で高い吸着率を示し、pH4〜6で最大を示した。CrはpH3付近で吸着率が急上昇した。その他金属イオンはpH4付近から吸着率が急増し、pH6~8で最大となった。いずれの金属イオンも、中性からアルカリ性に近づくにつれ吸着率は減少した。さらに反応時間の延長によってCrおよびFeの吸着率が増加する傾向も確認された。

  • 朝倉 由唯, 栗林 千佳, 細野 高啓, 谷水 雅治
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 34-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    地下水は、利用可能な淡水の大部分を占めており、幅広く利用されている。地下水の水質は人為的、自然的要因で変化するため、帯水層を流動する過程における水質変化の把握は、地下水を資源として活用するために重要である。本研究では、世界でも希な密度で観測井戸が設置されている熊本地域地下水のリン(P)の起源に注目して研究を行った。Pは、リン酸肥料や有機リン系農薬の過剰使用などによって表層から浅層地下水に浸透し、水質への影響が懸念されている。地下水中でのPの濃度変化には、鉄酸化物表面への吸着・脱着が関与している。そこで本研究では、熊本地域の地下水環境におけるPの濃度変化、および吸着・脱着反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。また、Pと同様に鉄酸化物の表面への吸着・脱着特性を示すヒ素(As)の定量も同時に実施し、両元素の地球化学的特性の類似性について考察した。

  • 三浦 愛理, 小松 大祐, 成田 尚史, 丹下 佑芙子
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 35-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    本研究では硝酸性窒素の増加について現状と原因を明らかにすることを目的に,西条市内の7地点の地下水と3地点の河川水(加茂川,中山川,高松川)にて,主要陽イオン及び陰イオン,栄養塩,NO3−の安定同位体比の分析を進めている.河川の平均NO3濃度(μmol/L)は加茂川28.8,中山川47.0,高松川134と各水系によって異なり,果樹が植えられている市内西側の丘陵地を集水域とする高松川で高い値を示した.一方,地下水は 17.8-536と地点によるばらつきが大きく,水温の低い地下水で低く,西側丘陵地付近の地下水で高い値を示した.また3河川の平均Si濃度(μmol/L)はそれぞれ,98.9,151,258,地下水は116-354とNO3と同様の傾向を示した。加茂川水系や低水温の地下水は標高の高い場所に水源があり,各種イオン濃度やSi濃度が低いと考えられる.市内西側の河川水,地下水の高いNO3濃度は,果樹栽培の施肥,特に硫安の影響が大きいと考えられる.

  • 中山 陽斗, 周藤 俊雄, 板井 啓明
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 36-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    日本は風化研究のモデル地として研究が推進されてきた背景があるが、2000年代以降に発展したNon-traditional stable itosopeを用いた風化量解析は進められてこなかった。本研究では、ケイ素やマグネシウム安定同位体を指標とした解析の前段階として、河川のマグネシウム濃度規制要因を考察した。2022年から2024年にかけて複数回実施された網羅的河川試料調査のデータを用いて、(1)1950年代の主要成分水質との比較、(2)集水域別の面積あたりマグネシウム溶出量の推定、(3)GISを用いた後背地地質割合の統計的解析を実施した。

  • 有賀 駿太, 大藤 弘明
    専門分野: G02 環境地球化学・放射化学
    p. 37-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    チタンは一般に水に不溶で移動しにくい元素とされるが、有機物との錯体形成により低温環境下でも移動する可能性が指摘されている。しかし、クエン酸水溶液とチタン鉱物の反応を実際に調べた例はなかった。そこで本研究では、チタン鉱物としてルチル(TiO2)、イルメナイト(FeTiO3)、チタン石(CaTiSiO5)、およびペロブスカイト(CaTiO3)と0.005~0.5 Mクエン酸水溶液を用いて、加熱温度を30℃~270℃まで変化させ、密閉容器内で12 時間~最長 12 週間の実験を行った。その結果、チタン石とペロブスカイトのみが140℃以下でクエン酸水溶液に溶解し、高いTi濃度を示した。150℃以上では、溶液中のチタンは直径0.5 μmほどの球状アナターゼ(TiO2)として析出した。一方、ルチルとイルメナイトからのチタン溶出は確認されなかった。このように、鉱物種による溶解性の違いが明らかになった。

G3 海洋の地球化学
  • 中口 譲
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 38-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    海水中の微量元素とはその濃度が1mg/L以下で存在する元素とされ、これら微量元素の多くは生物の機能を維持するために必須のものもある。また微量必須元素の多くは生体内において酵素の活性中心として働くことが知られており、例えばセレンはグルタチオンペルオキシダーゼの活性中心元素である。これら微量必須元素の海水中濃度は塩素やナトリウムなどの主要成分とは異なり、世界の海洋で大きく異なっており、さらに水深によっても濃度差があるため、その分析は困難されてきた。1980年代からクリーン採水技術の進歩、分析装置の進歩に伴う検出限界濃度の向上、脱塩と濃縮操作の進歩に伴い確からしい分析値が報告されるようになった。ここでは3つの分子種で存在するセレン、GEOTRACES研究計画のキーパラメータのアルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、カドミウム、鉛の海洋における分布とその支配する要因に関して述べる。

  • 河合 響, 藤田 彩花, 濱田 祐多, 橘 武蔵, 宗林 由樹, 江口 充, 中口 譲
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 39-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    海水中に含まれる微量成分の中で、特に生体内において代謝に関わる金属酵素の活性中心として働く金属を生物活性微量金属と呼ぶ。これまでに生物活性微量金属の分布調査は主に外洋域で行われてきたが、河川水の影響を受けやすい沿岸域の分析例は少ない。そこで、本研究では大阪湾における生物活性微量金属9元素(Al,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Cd,Pb)の分布調査を行った。溶存態金属は塩分と有意な負の相関、栄養塩と有意な正の相関を示し、河川水起源およびプランクトンの関与が示唆された。置換活性粒子態金属のうち、Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Cdは互いに有意な正の相関がみられ、共通の供給源が示唆された。AlとFeは置換活性粒子態および全可溶態において有意な正の相関がみられ、FeがAlと同じく地殻起源であることが示唆された。

  • アリフィア ザスキア, 張 勁, Haryanto Michael Julian, 重浩 加賀谷, 恵司 堀川, 裕大 勝田, 進平 大塚
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 40-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    本研究は、InertSep ME-2樹脂を用いた固相抽出法を提案するものであり、広範な塩分範囲にわたって微量金属および希土類元素(REEs)をワンスステップ前濃縮可能である。Nobias Chelate PA-1の製造中止に伴う代替法として開発され、8本の樹脂カラムを備えた独自システムにより、40~50 mLの試料を20分以内に並列処理できる。ICP-MSによる分析では、マトリックスに合わせたブラケット標準とYおよびLuスパイクを用いることで、高精度(相対標準偏差5%以下)かつ高回収率(微量金属99±5%、REEs103±2%)を実現した。富山湾への適用では、河川・地下水・海底湧水(SGD)・海水中の微量金属およびREEsの濃度が明確な分布パターンが確認され、SGDが陸域由来金属の沿岸域への輸送に重要な役割を果たすことを示した。本手法は、多様な水環境における微量元素分析に対し、信頼性と効率性を兼ね備えた有効な方法である。

  • 三歩一 孝, 折戸 達紀, 角皆 潤, 中川 書子
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 41-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    一次生産者(植物プランクトンなど)の生体内に取り込まれたリン酸は、細胞内酵素の働きで周辺環境水と温度に依存した酸素同位体交換平衡に速やかに達することが知られている。この性質から、リン酸の酸素同位体比(d18O)は、水圏環境の温度を復元する同位体温度計として機能する。堆積岩中のリン酸のd18Oを指標に用いることで堆積当時の海水温を復元できる可能性があるが、そのd18Oが海水と同位体平衡状態にあることが保証されなければならない。そこで、本研究では、従来のd18O指標に加えて、D’17Oを新指標として追加で活用し、現在の海水中リン酸が海水と同位体平衡にあるか検証した。その結果、海水中リン酸のd18OおよびD’17Oは、予測される平衡値と同様な値を示した。したがって、海水中リン酸は同位体平衡状態にあると結論付けた。

  • 田嶋 大洋, 瀬古 典明, 保科 宏行, 堀田 拓摩, 浅井 志保, 斎藤 恭一, 山崎 信哉, 高久 雄一, 末木 啓介, 坂口 綾
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 42-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    135Csは核実験や核関連施設等から環境中に放出された放射性核種であり、137Csに代わる海水循環トレーサーとしての利用や核関連施設周辺のモニタリングの必要性から、その測定法の確立が求められている。しかし、一般的な海水中の135Csは極微量(推定1.6 fg/kg)であり、質量分析のためには海水約50 LからCsを分離・濃集する必要がある。本研究では、グラフト重合による不溶性フェロシアン化コバルト(Co-FC)担持吸着材を作製し、海水中Csの吸着・脱離条件について検討した。また質量分析のための化学分離法についても検討を行った。

  • 小川 颯士, 榊枝 優真, 中島 朗久, 永井 歩夢, 細川 浩由, 横山 明彦, 羽場 宏光, 南部 明弘, 鄭 建, 瀬古 典明, 保科 ...
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 43-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    海水中の237Np質量分析法の確立に向け、アミドキシム型吸着剤を用いた海水中Np濃集法の検討と、スパイク製造を目的とした232Th+7Li反応によるNp同位体の励起関数作成を試みた。最適化された条件では、アミドキシム型吸着剤により海水中Npの約9割を吸着できた上に、吸着剤を灰化後に3 M硝酸を用いて処理することで、吸着剤中のNpの約8割を溶離することができた。232Th+7Li反応では、236gNpの合成に成功し、励起関数が得られた一方で、237Npもこの反応で同時に生成されることが明らかとなった。

  • 上田 いろは, 野坂 裕一, 村山 愛子愛子, 小畑 元, 西岡 純, 南 秀樹
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 44-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    北太平洋の高い生物生産を支えているケイ藻種の必須元素であるケイ素の動態を解明するためには,海水―間隙水―堆積物の評価が不可欠となる。国際GEOTRACES計画において北太平洋において採取した北緯47°N横断測線と,東側の西経145°W縦断測線のデータを主に解析し,西側の東経155°E縦断測線についても報告する。底層水および間隙水からのケイ素のBenthic Fluxを見積もり,堆積物中の生物起源ケイ素(Biogenic-Si:Opal)の分布や,他の微量金属元素との関係について議論する。また,定点観測点として設定してある西部北太平洋44°N,155°EのKNOT(Kyodo Northwest pacific Ocean Time series)および東部北太平洋亜寒帯アラスカ湾のPAPA(50°N,145°E)についても考察する。

  • 太田 雄貴, 青柳 智, 堀 知行, 宮嶋 佑典, 吉岡 秀佳, 鈴村 昌弘, 塚崎 あゆみ
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 45-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    日本海の表層型メタンハイドレート胚胎域である海鷹海脚の海底で観察された微生物マットより約30 cmの堆積物コア試料を採取し、環境DNAメタバーコーディング解析と炭素・窒素・硫黄安定同位体比分析を含めた化学分析を行った。微生物による硫酸還元を伴う嫌気性メタン酸化(AOM)が活発に起こっている堆積物では、嫌気性メタン酸化アーキア(ANME)などAOM関連生物に由来する有機炭素と、AOM反応によって形成された炭酸塩岩および硫化物が存在することが明らかにされた。またAOMの発生が示唆された試料中では、窒素同位体比の負の異常が見られた。間隙水中では高濃度のアンモニウムイオンが検出されたことから、AOM関連生物へのアンモニウムイオンの吸収によって窒素同位体比の負の異常が引き起こされた可能性がある。本研究は経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した。

  • Basak Chandranath, Johnson Laura, Sherrell Robert, Herbert Lisa, Steff ...
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 46-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    Changes in global climate have accelerated ice loss in Antarctica, where the highest melt rates are found in the Amundsen Sea (AS), West Antarctica. Ice mass loss results from the incursion of relatively warm modified Circumpolar Deep Water (mCDW), which flows under the fringing ice shelves, including the Dotson Ice Shelf (DIS). Here, we report dissolved REE concentrations, with an emphasis on Nd, and Nd isotopes from nine stations located off of the DIS. We show REE enrichment near between ~ 300-400 meters, within the depth range of maximum outflow velocities and meltwater fractions. This implications has significance in the context of REE contribution from Antarctic glacial melting.

  • 阪本 昂平, 吉川 知里, 小川 奈々子, 石川 尚人, 長田 穣, 伊藤 進一, 宮入 陽介, 横山 祐典, 大河内 直彦
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 47-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    魚類の耳石や眼球は,形成時に摂取した餌や周辺の海水の同位体や微量元素の組成を保持する。こうした蓄積性組織に保持される経時的同位体情報を利用して,同位体組成の異なる地域間を生物が移動した履歴を復元する手法は「アイソロギング」と呼ばれ,近年注目されている。 本研究では,Harada et al. (2022)のマサバ(Scomber japonicus)成魚の水晶体試料から,窒素安定同位体比の推定と放射性炭素同位体比の測定を実施した。海洋の窒素同位体比分布にはYoshikawa et al. (2024) の月別アイソスケープデータを用い,時空間的に連続なデータセットを構築した。これらの同位体情報を結びつける状態空間モデルを構築し,マサバの回遊経路を推定した。放射性炭素同位体比の測定結果は窒素同位体比の変化が小さくなる成長後期に明確な変化を示し,多元素による制約が経路推定の精度の向上につながる可能性が示唆された。

  • 朝来野 翔大, 中林 賢一, 大野 剛, 深海 雄介
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 48-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
    会議録・要旨集 フリー

    食事等を通して蓄積した水銀による人体への健康リスクを低減させるため、環境中での動態や起源を解明することが重要と考えられており、その方法として水銀の同位体比が用いられている。水銀同位体比は多様な環境要因によって変動するものであり、それぞれの要因について解析を行う事が重要となる。本研究では魚介類中の水銀同位体比(Δ201Hgおよびδ202Hg)と食物連鎖のトレーサーとして用いられているアミノ酸中の窒素同位体比(δ15N)の関連性に注目し、両者を比較することでどの水銀同位体の要素が食物連鎖と結びつくかを明らかにし、新たな指標の確立を目的とした。

  • 下島 公紀, 前田 義明, 末永 弘, 佐藤 徹
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 49-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
    会議録・要旨集 フリー

    雲仙火山由来のCO2 ガスが海底から小規模に噴出している橘湾中央部において、採水、採泥、センサ搭載AUVのマッピング観測、センサの多点鉛直観測を行った。AUVマッピング観測では、海底上2mで局所的に同心円状の低下pHエリアが観測されたが、ほとんどの観測では低pHエリアは観測されず、噴出したCO2 が海底上2mに達するまでに海水中に溶解していることが分かった。センサ多点観測では、海底上2m以下の海底近傍で低pHの水塊が検知され、周囲に放射状に拡散していた。マルチビーム観測では、データを独自に解析することによって、非常に小さな噴気活動がある程度広範囲に発生している可能性が示された。

  • 末冨 百代, 鍵 裕之
    専門分野: G03 海洋の地球化学
    p. 50-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/06
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    本研究は、海水や温泉水、流体包有物などの塩分と炭酸種(CO2, HCO3-, CO32-)を含む溶液を対象に、両成分を迅速かつ同時に測定する新たな手法の開発を目的とする。従来は炭酸種の化学平衡を考慮した複雑な処理を必要としたが、本手法では近赤外および赤外分光法を用い、化学平衡に依存せず成分濃度を定量する。全炭酸濃度を海水の約10倍に設定したNaHCO3水溶液において、pHを段階的に変化させると、HCO3- (1303 and 1364 cm-1) およびCO32- (1396 cm-1) に対応するピークの強度がpHに応じて変化し、特に低pH溶液では、CO2(aq)の逆対称伸縮振動(2350 cm-1)が確認され、濃度推定値と吸光度変化の対応が得られた。また、より希薄な炭酸溶液でも炭酸種のスペクトルが観測された。

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