日本地球化学会年会要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
  • 布浦 拓郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 1-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    TCA回路には、典型例と理解される酸化的TCA回路に限らず多様な経路が存在し、高い保存性と、相反する多様性、柔軟性が知られる。その普遍的な機能は、教科書にあるエネルギー生産ではなく、アミノ酸、核酸、脂質、糖等の生命活動に必須の物質の生合成における中間代謝物の生産にある。 一方、炭酸固定経路として知られる還元的TCA回路におけるクエン酸分解反応は、熱力学的にcitrate synthaseの逆反応が細胞内では生じないと考えられ、ATP依存の反応が不可欠であるとされてきた。我々は、始原的バクテリア系統群に属す水素酸化好熱菌から、独立栄養や混合栄養条件においてcitrate synthaseを含む全て同じ酵素群を用い、回路に取り込まれる基質の種類と量に応じて回転方向が変動する可逆的TCA回路を見出した。このTCA回路の詳細と共に、この発見がもたらす生命の起源研究における新たな視点について議論したい。

  • 徳森 彩乃, 山内 敬明
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 2-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    古細菌は、環境適応のために生育条件によって膜脂質構造を変化させることが報告されている。好塩性古細菌についても生育条件による膜脂質構造の変化が報告されているが、好塩性古細菌に特有なC20-C25ジエーテルの役割について詳細は分かっていない。本研究では、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaの生育条件(pH,塩濃度,温度)を変えて培養し、ジエーテル脂質の量比(C20-C20ジエーテルとC20-C25ジエーテル)にどのような変化があるのか調べることを目的としている。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、生育条件によって、ジエーテル脂質の量比が変化するという結果が得られた。このことから、好塩性古細菌はジエーテル脂質の量比を変化させることで環境に適応している可能性がある。

  • 石山 遼, 鍵 裕之, 藤本 千賀子, 三村 耕一, 森井 尚之, 奈良 雅之
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 3-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    必須アミノ酸のうち、グリシンを除いては光学異性体であるL体とD体が存在する。両者は同様の物理的性質を示す一方で、生命ではL体のみが用いられている。最近我々は、氷天体内部での化学進化の可能性を探る目的で、アミノ酸の圧力誘起オリゴマー化を研究しており、25℃、5-11 GPaといった温度圧力条件下でアラニンのオリゴマー化が報告されている。また、室温下ではアミノ酸のラセミ化が進行しにくいと考えられる。本研究の目的は、室温下での圧力誘起オリゴマー化において、光学選択性が生じるか明らかにすることである。二量体のL-アラニル-L-アラニンにラセミ混合物のアラニンを室温高圧下で付加したところ、D体がより多く付加するという結果が得られた。

  • 鍵 裕之, 高橋 修也, 篠崎 彩子, 三村 耕一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 4-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    我々はベンゼン、ナフタレンなどの芳香族化合物、アミノ酸のアラニンなどさまざまな有機化合物が室温・高圧力下で縮合反応を起こすことを報告してきた。特に反応系に水が共存する場合は、高圧下で氷の高圧相VIIが析出し、凍結濃縮機構によって反応が促進される可能性がある。このように水(氷)が共存する系において、高圧下でさまざまな有機反応が起こるため、氷天体内部が新たな分子進化の場となる可能性がある。本研究では、メタノールと酢酸との間の高圧下エステル化反応に着目し、高圧下で氷VIIが生成する条件での結果について報告する。エステル化反応は平衡反応であるため、通常は平衡定数で規定される量の生成物が得られるが、本実験ではエステル化反応で生じた水分子が氷VII相に取り込まれ、平衡系から除外されたため完全に反応が進行したと考えられる。

  • 高野 淑識, 風呂田 郷史, 大河内 直彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 5-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    アミノ酸は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持つ。アミノ酸分子(R1-)と同分子(R2-)の間で一方のアミノ基とカルボキシル基が、脱水縮合した化学結合をペプチド結合と呼ぶ。ペプチドは、アミノ酸とタンパク質の間にある準安定物質として、生化学、薬理学、栄養学的にも重要な存在である。 天然物には、同じ化学組成で、同じ質量数の分子が存在することから、クロマトグラフィーによるオンライン分離が必須であり、質量分析法の最適化が必要になる。例えば、Glycyl-alpha-alanineとalpha-Alanyl-glycineは、同組成(C5H10N2O)、同質量(Exact Mass 146.0691)、かつ、分子極性が近似しており、的確にクロマトグラフィーでの分離を行わない限り、両者の分子同定はできない。本講演では、高精度・高確度な分析法の開発と応用例を紹介し、地球宇宙化学的な展望を議論する。

  • 多田 浩紀, 奈良岡 浩
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 6-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    始原的な隕石である炭素コンドライトには多種の有機化合物が含まれている.隕石アミノ酸の中でも非タンパクアミノ酸からL体光学異性体過剰が検出されたことから,地球生命のL体アミノ酸の起源は地球外との仮説もある.最近の研究によりアミノ酸以外の隕石有機物の光学異性体過剰が報告されている.本研究では,Murchison隕石粉末試料をジクロロメタン抽出物およびその残渣を誘導体化し,光学活性固定相カラムを用いたガスクロマトグラフィー質量分析により,光学異性体化合物の検出・分離を行った.検出したすべてのアミンとアルコール光学異性体化合物は,マスクロマトグラムからほぼラセミ体であった.さらに,未知な光学異性体化合物が発見されたため,その化学構造と光学異性体分布を明らかにする.

  • 増田 冴耶, 小林 敬道, 掛川 武, 古川 善博
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 7-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    RNAの構成分子であるリボースは、ホルムアルデヒドが塩基性条件下で縮重合するホルモース反応の生成物の一つである。よって、生命誕生以前の地球上で、ホルムアルデヒドの蓄積はリボースを含む糖の形成のために重要である。初期地球では小惑星や隕石の衝突が現在より頻繁に起こっていたと考えられ、小惑星の海洋衝突は初期地球におけるアミノ酸や核酸塩基などの有機物の非生物的生成過程として示唆されている。しかし、このような小惑星の海洋衝突によるホルムアルデヒドの生成は明らかになっていない。そこで本研究では、初期海洋への小惑星衝突を模擬した衝撃回収実験を行い、ホルムアルデヒドと糖の生成を検証した。その結果、対照実験を除くすべての実験条件で、ホルムアルデヒドの生成が確認された。本研究におけるホルムアルデヒドの形成は、小惑星の海洋衝突が生命誕生以前の地球上でホルムアルデヒドの新しい供給源であることを示唆している。

  • 小林 憲正, 木下 美栄, 青木 涼平, 伊勢 絢一, 癸生川 陽子, 柴田 裕実, 高橋 淳一, 福田 一志, 小栗 慶之, 河村 公隆, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 8-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    わずかに還元的な原始大気中での有機物生成の検証のため,N2,CH4,CO2, H2Oの混合気体に,陽子線照射, 火花放電, 紫外線照射を行い,生成物中のアミノ酸・カルボン酸の定量を行った。紫外線照射ではアミノ酸は生成せず,火花放電ではメタン分率10%以下ではアミノ酸が検出されなかったのに対し,陽子線照射ではメタン分率0.5%でもアミノ酸(前駆体)の生成が確認できた。一方,火花放電および陽子線照射によりメタン分率0%でも種々のカルボン酸の生成が認められた。以上の結果より,原始地球上でのアミノ酸生成の主要なエネルギーは宇宙線のような高エネルギー粒子線と推定される。近年,若い太陽型恒星が巨大フレアを起こすことが報告されている。このことは若い太陽からの高エネルギー粒子が銀河宇宙線以上に原始大気中でのアミノ酸生成に寄与していた可能性が考えられる。

  • KIM BEOMSIK, 上野 雄一郎, Gilbert Alexis
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 9-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    後期太古代堆積岩中の有機物は、安定炭素同位体比が異常に低い値(δ13Corg=-45~-60‰)を示す。この原因として、メタン資化細菌による有機炭素固定やメタンの光化学反応によるHydrocarbon hazeの堆積物沈着などが提案されている。本研究ではこの負異常有機物の起源を探るために、後期太古代異常同位体有機物の地理的分布を調べた。これに必要な有機炭素同位体微量分析のために、キュリー点加熱装置を用いた分析法を新たに開発した。この分析法を西オーストラリア、フォーテスキュー累層における27億年前の浅海堆積岩に適用した。測定の結果、δ13Corg値-35‰以下の有機物がストロマトライト組織以外にも分布する点、無機・有機炭素同位体の間に相関がない点は、Methanotropy仮説を支持しない。δ13CorgとTOCの関係は負異常有機物の後期太古代大気からの堆積場によらない均質な供給を支持する。

  • 小宮 剛
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 10-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    初期太古代の縞状鉄鉱層(BIF)と炭酸塩岩(CARB)の化学組成に独立成分分析を適用し、鉄水酸化物、炭酸塩鉱物と砕屑性物質の(相対濃度)組成を推定した。本研究で用いた試料は、イスアのBIF(36試料)、ラブラドルのBIF(37試料)とCARB(59試料)の合計130試料で、それぞれ10の主成分元素と31(または33)の微量元素組成を含む。そのうちの主成分元素、微量成分元素や元素比の23のパラメータを用いて、独立成分を計算した。成分の数は5とし、その寄与率は90%を超える。計算の結果、Fe、Ca・Mg、Si、Al2O3+TiO2・HFSE、Siのみに富む成分が抽出できた。それらはそれぞれ、鉄水酸化物、炭酸塩鉱物、シリカ鉱物、砕屑性物質、珪化に対応すると考えられる。そして、それぞれの希土類元素パターンとV/Fe, Co/Fe, Cu/FeとZn/Fe比を計算した。

  • 尾崎 和海, ラインハード クリス
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G12 初期地球と生命起源の地球化学
    p. 11-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    地球生命圏の存続可能性については、これまでに炭素循環およびエネルギー収支に基づく気候安定性の観点から研究が行われてきた.これらの研究では、億年スケールで生じる太陽光度の増加や火成活動の鈍化といった外的強制力に対する炭素循環の応答として、大気中CO2濃度は低下していくものと考えられている.その一方で、大気海洋の酸化還元状態の将来予測について研究が行われた事例は無く、富酸素な地球大気の持続期間についてはわかっていない.本研究では、富酸素地球大気の持続期間がどの程度のものであるのかを明らかにすることを目的として、数値モデルを用いた研究を行った.その結果、CO2枯渇と温暖化による光合成律速のために今後15億年以上の期間にわたって富酸素条件を維持することは難しいこと、富酸素大気の持続期間は主に地球表層圏とマントルとの間での酸化還元収支によって影響されていることが示された.

G01 大気微量成分の地球化学
  • 服部 祥平, 飯塚 芳徳, 植村 立, 鈴木 希実, 鶴田 明日香, 石野 咲子, 藤田 耕史, 的場 澄人, 吉田 尚弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    p. 12-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    グリーンランドの氷床コアは北アメリカやヨーロッパ由来の大気が由来し、過去のエアロゾル動態を復元する貴重な環境媒体である。産業革命以降の人間活動の増大に伴い、大気中に放出される硫黄及び窒素酸化物の濃度が上昇し、1970年以降に北アメリカ、ヨーロッパで排出が抑制された。事実、氷床コア中の硫酸濃度の減少がSO2排出量の減少と対応していることが知られている。本研究では、グリーンランド南東ドーム(SE-Dome)で採取された約90 m、60年分のアイスコアを用い、時間解像度3~6年で硫酸の三酸素同位体組成を分析した。

  • 宮本 千尋, 松木 篤, 板井 啓明, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    p. 13-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    硫酸エアロゾルは、二酸化硫黄(SO2)の大気中での酸化反応を経て形成され(Pilinis and Seinfeld, 2006)、地球の放射強制力をはじめ地球表層環境に様々影響を及ぼす(IPCC, 2013)。しかし、その挙動は化学種や粒径分布に依存するため、実大気における硫酸化学種を直接的かつ定量的に明らかすることが重要である。本研究では、近年全球でのSO2排出量において大きな割合を占める東アジア域(Streets et al., 2003; Crippa et al., 2016)において、エアロゾル中の硫酸塩化学種および微量元素の濃度から、硫酸エアロゾルの輸送・反応過程を詳細に明らかにすることを目的とした。試料は能登大気観測スーパーサイトにて粒径を7分画して採取した。XAFS分析と後方流跡線解析の結果、エアロゾル中の硫酸塩化学種は、アジア大陸由来物質の影響により異なることが示唆された。

  • 伊禮 聡
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    p. 14-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    この講演では中国大陸からの越境汚染の影響を受けやすい九州・沖縄地方において行った二次生成有機エアロゾル(SOA)の実態解明に向けた屋外観測の結果を紹介する。観測ではエアロゾル質量分析計によるセミリアルタイム観測やフィルターサンプルに含まれる低揮発水溶性有機炭素(LV-WSOC)の濃度と炭素安定同位体比測定を実施した。このケーススタディーにおいては、エアロゾル質量分析計で観測されたカルボン酸由来のフラグメントイオン強度とLV-WSOC濃度の間に非常に高い相関が見られた。データ解析の結果から、測定されたカルボン酸とLV-WSOCはSOA由来であることが示唆され、バックグラウンドとしてSOA由来でないLV-WSOCがわずかに含まれていることも示唆された。

  • 河村 公隆, 北 和之, 五十嵐 康人
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    p. 15-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
    会議録・要旨集 フリー

    福島県浪江町で採取した大気エアロゾル試料中にアラビトール、マンニトール、トレハロースを検出した。これら糖アルコールは昼間の試料に比べて夜間に高い濃度傾向を示すことが明らかとなった。これら糖類はキノコ胞子に特有なトレーサーである。それらが137Cs濃度と正の相関を示したことから、菌類由来の胞子が137Csの土壌から大気への再放出メカニズムに重要な役割を果たしていることが示唆された。

  • 土橋 司, 宮﨑 雄三, 立花 英里, 岩本 洋子, Shu―Kuan Wong, 濵﨑 恒二
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    p. 16-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    海洋表層から放出される大気有機エアロゾルは気候変動の重要な支配要因である。中でも水溶性有機態窒素(WSON)は大気の物理化学特性を変化させうる重要な成分である。本研究では、北太平洋亜熱帯域において研究船で採取した大気エアロゾルの有機物組成とその空間分布、および対応する海洋表層の微生物活動との関係を調べることで、WSONの起源を明らかにすることを目的とした。 WSON濃度は160°Wを境に東側海域が西側より約3倍有意に高いなど、特徴的な経度分布が見られた。エアロゾル窒素質量に占めるWSONの割合は最大54%を占め、特に東側海域でWSONの存在質量の重要性が明らかになった。後方流跡線および表層海水のクロロフィルa濃度、エアロゾルの一次・二次生成指標やδ13C値から、160°Wより東側海域のWSON質量の多くは海洋表層の微生物活動に起因し、大気中での二次生成の寄与がより大きいことが示唆された。

G02 古気候・古環境解析の地球化学
G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
  • 関根 康人, 福士 圭介, 渋谷 岳造, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 32-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    近年の太陽系探査の進展により、水-岩石相互作用が生じていた地球外天体への着陸その場分析やサンプルリターンが可能になっている。これを契機として、地球において構築されてきた水-岩石相互作用に関する地球化学的知見を、広く太陽系天体に展開できる新時代が訪れている。火星や氷天体では、表層環境進化や生命存在可能性に対して実証的な議論が進み、準惑星など小天体では初期太陽系における物質進化の理解が急速に進みつつある。本発表では、初期火星や氷天体における水-岩石相互作用に関する研究をレビューし、初期火星における水環境・気候の復元と準惑星セレスの水質復元に関係する著者らの研究を紹介する。

  • 野田 夏実, 関根 康人, 渋谷 岳造
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 33-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    火星探査車Curiosityは、着陸地点であるGaleクレータに残された湖底堆積物のその場分析を行ってきた。酸化鉄やシリカといった堆積物の鉱物・化学組成から、湖に供給されていた地下水が高温での水-岩石反応を経験していた可能性が示唆されている。しかしながら、初期火星でGaleクレータ古湖を維持した水循環において、熱水の寄与の割合やその溶存化学組成は全く分かっていない。本研究では、3次元流体シミュレーションを用いて、Galeクレータ古湖周辺の水循環を再現し、Galeクレータに供給される水に対する熱水の寄与割合を定量化する。さらに得られた温度条件における水-岩石反応実験を行い、Galeクレータ古湖に供給された熱水の溶存種組成を推定する。数値実験および室内実験の結果とGaleクレータ湖成層の鉱物化学組成を比較することで、初期火星における気候状態や、生命が利用可能な還元剤候補について議論する。

  • Haibo Qin, Shitong Yang, Qing Chang, 宮本 千尋, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 34-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    In this study, we investigated the concentration of Cl-, ClO4-, and NO3- anions in sand, river sediment, moraine, and loess samples collected from the Taklimakan Desert, Xinjiang, NW China by ion chromatograph (IC). Furthermore, the speciation of Cl was determined for selected samples by the bulk XANES and μ-XRF-XRD-XANES techniques.

  • 福士 圭介, 松宮 春奈
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 35-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    大陸内部の乾燥地域には、高塩分・高pH・高炭酸イオン濃度の水質をもつアルカリ塩湖が広範に分布する。アルカリ塩湖では含水カルシウム炭酸塩であるモノハイドロカルサイト(MHC)の生成が頻繁に認められるが、MHCの生成条件、塩湖の水質に及ぼす影響、さらに塩湖における炭素循環に果たす役割はよくわかっていなかった。これまでに発表者らはMHCの合成実験、合成試料の放射光分析およびMgを含有するMHCの第一原理計算を行い、MHCの生成にはMgを必要とすること、MHC中のMgは主に別相としてMHCに付随する非晶質炭酸マグネシウム(AMC)であることを示した。本研究では、塩湖環境を模擬した溶液中におけるMHCおよびAMCの溶解度測定を行い、自然界のアルカリ塩湖の水質はMHCおよびAMCの生成過程によって制御されていることを突き止めた。

  • 大野 剛, 伊地知 雄太, 柵木 彩花, 坂田 周平, 家路 豊成, 小川 雅裕, 福士 圭介, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 36-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    炭酸塩鉱物は地球史を通じて生成され、その微量元素組成や同位体比から沈殿時の海洋の温度やpHを推定できるため、地球環境の変遷を探る上で重要な役割を果たしている。近年、新たな環境指標として炭酸塩中のマグネシウムの同位体分別が注目されている。天然炭酸塩鉱物には主にカルサイトとアラゴナイトの結晶形が存在し、主成分のカルシウムではカルサイトに比べアラゴナイトの同位体分別の方が大きいのに対し、マグネシウムではアラゴナイトの同位体分別の方が小さくなることが報告されている。この指標の有用性を評価するためには炭酸塩鉱物中のマグネシウムの局所構造に注目し、同位体分別の変動要因を理解することが重要となる。本研究では、結晶構造の違いがマグネシウムの同位体分別にどのような影響を与えるかを調べるため、天然炭酸塩試料と実験室内で合成したカルサイト・アラゴナイトにおけるマグネシウムのXAFS法による局所構造解析を行った。

  • 伊地知 雄太, 大野 剛, 坂田 周平, 柵木 彩花, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 37-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
    会議録・要旨集 フリー

    炭酸カルシウムは溶液中のMg/Caモル比に依存して沈殿する結晶形がカルサイト・アラゴナイトに分かれる事が知られているが、溶液中マグネシウムの存在が炭酸カルシウムの結晶多形選択にどのような影響を与えているのかは未だ十分に議論されていない。無機的なアラゴナイトの合成には、マグネシウムの他に銅を添加する手法が報告されている。そこで本研究ではカルシウムに比べイオン半径が小さい金属イオンが炭酸塩結晶多形選択に及ぼす影響の解明を目標に、炭酸カルシウム中に共沈した銅の化学状態を銅K吸収端XAFS測定で調べた。EXAFS測定によるとカルサイト中の銅はCu-O距離を伸長させてカルシウムの置換を示した一方で、アラゴナイト中の銅は水分子を配位した遊離銅(II)イオンに近いCu-O距離を持ち、隣接するカルシウムサイトに相当するカルシウムの存在が確認されなかった。アラゴナイト中の銅は、酸素を9配位するカルシウムサイトの単純な置換ではないとみられる。

  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 38-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    本研究では、北西太平洋に位置している拓洋第5海山と拓洋第3海山において、平頂部である1000m付近から最深部である5500m付近までの一連の水深から遠隔操作型無人探査機により採取した鉄マンガンクラスト表面試料について、Te濃度・安定同位体組成を明らかにした。Te濃度・安定同位体組成の相関関係が、水深が深くなるに従い変化するという同様の傾向が2つの海山において見られた。相関関係が変化する水深は2つの海山で異なり、酸素極小層が拓洋第5海山よりも深い水深に位置する拓洋第3海山では、相関関係の変化する境となる水深も同様に深いことが明らかになった。異なる海山における酸素極小層とTe濃度・同位体組成の相関関係の変化する境の水深の対応関係は、海洋におけるTeの挙動が溶存酸素濃度の変化と関連する可能性を示唆しており、その変動過程について議論する。

  • 小林 ゆい, 福士 圭介, 小杉 重順
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 39-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    Sakaguchi et al. (2009)よりフブスグル湖の湖底堆積物コアにおいて, 年代によって自生ウラン濃度が変動することが報告されている. この現象は, 鉄酸化物によるウラン吸着脱離過程により説明される可能性が指摘されている. これらの鉄酸化物によるウランの吸着挙動に影響を与える水質因子を解明出来れば, 堆積物のウラン濃度に対応した過去の水質を復元出来る可能性がある. 水質条件の関数として元素の吸着挙動を理論的に予測出来る手法に, 「表面錯体モデリング」がある. この表面錯体モデリングを逆方向に適用すると, 微量元素の吸着挙動から水質を予測できる可能性がある. 堆積物に残された微量元素情報から表面錯体モデリングを用いて, 吸着時の水質を復元する手法を構築できる可能性がある. そこで, 本研究では鉄酸化物のウラン吸着挙動をモデル化し, その構築したモデルを自然界におけるウランの吸着挙動に適応するか確かめることとした.

  • 田中 雅人, 有賀 大輔, 柏原 輝彦, 高橋 嘉夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 40-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    モリブデン(Mo)は、鉄マンガン酸化物への吸着に伴って大きな同位体分別を起こすが、その原因はマンガン酸化物への吸着に伴って四面体(Td)から歪んだ八面体(Oh)へ構造変化するためであることが、X線吸収微細構造(XAFS)法の解析から示唆されている (Kashiwabara et al., 2011; Wasylenki et al., 2011)。配位数はイオン半径と相関している。従って、Moと同様のイオン半径を持つ元素は、吸着に伴う大きな同位体分別をすることが期待される。ゲルマニウム(Ge)およびバナジウム(V)はMo(VI)と同様のイオン半径をもち、これらの元素はMoと同様の性質を示す可能性がある。本研究では、吸着に伴う大きな同位体分別が起こる機構を詳細に理解するために、Moに類似のイオン半径を持つこれらGeおよびVについて、鉄/マンガン酸化物に対する吸着構造を調べ、量子化学計算によって同位体分別の見積もりを行った。

  • MD MAROOF AZAM
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 41-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    Weathering of granites along an east-west climatic transect of northern India

  • 淵田 茂司, 石橋 純一郎, 島田 和彦, 松下 能孝, 河地 正伸, 越川 海
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 42-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    海水中における硫化鉱物の酸化と二次鉱物生成メカニズムを調べるために,海底熱水マウンドから採取したコア試料2種類と単一鉱物(閃亜鉛鉱、方鉛鉱)を用いて海水溶出実験を行った。コア試料から溶出した金属元素のうちZnの濃度が最も高く,表面積あたりのZn溶出速度は黄鉄鉱を多く含む試料で700 nmol/m2/h,黄鉄鉱が少ない試料で44 nmol/m2/hとなった。一方,閃亜鉛鉱単体ではわずか0.20 nmol/m2/hであった。反応前後の鉱物粒子表面のZnスペシエーションをXPSで測定したところ,黄鉄鉱を多く含むコア試料表面のZnSは徐々にlabileな吸着態Zn2+に変化している様子が観察された。一方,黄鉄鉱が少ないコア試料は反応後もZnSスペシエーションの変化は認められなかった。これらの結果から,硫化鉱物からの金属元素の選択的溶出には異なる鉱物間の電気化学作用が関与していることが裏付けられた。

  • 奥村 雅彦, 中村 博樹, 町田 昌彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 43-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    雲母等は、正に帯電したアルカリ金属イオンを層間に持ち、負に帯電した粘土鉱物層との相互作用により、層状構造を形成している。これまで、層間イオンと粘土鉱物層の相互作用はイオン結合であると考えられていた。本研究では、密度汎関数法を用いて粘土鉱物の状態密度を評価し、粘土鉱物と層間イオンの相互作用を調べた。その結果、層間セシウムと粘土鉱物の酸素の間に軌道混合が起こり、単純なイオン結合ではないことがわかった。

  • 安藤 康伸, 奥村 雅彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 44-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    粘土鉱物―水溶液界面におけるイオン吸着や溶液・イオンの分布構造の理解は、重金属・放射性物質の土壌汚染などに関わる重要な課題である。ナノスケールでのイオン吸着現象を理論的に明らかにするためには分子動力学法による研究が主流であるが、粘土鉱物と水分子の間の相互作用パラメータなどの最適化や長時間計算が必要不可欠であるなど課題が多い。 近年、固液界面の新たな計算シミュレーション手法としてLAUE-RISM法が注目を集めている。LAUE-RISM法は密度汎関数理論(DFT)と溶液の積分方程式理論であるRISM法を界面計算に特化した形で融合させた手法であり、鉱物の電荷分布及び界面での溶媒・イオン分布を低コストかつ経験的なパラメータを排除して一度に計算することができる。これにより、界面の電気二重層構造やイオン吸着の解析を比較的容易に行うことが可能となる。本講演では、計算シミュレーションに用いたLAUE-RISM法の概要と、本手法をmica-KCl水溶液系に適用した結果について報告する。

  • 高橋 嘉夫, 山口 瑛子, 坪井 寛行
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
    p. 45-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
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    粘土鉱物などの層状珪酸塩は、様々な金属イオンを吸着することで、多くの金属イオンの地球表層での挙動に影響を与えているが、その吸着種の安定性は、金属イオンによって大きく異なる。ハードな金属イオン(アルカリイオン、アルカリ土類イオン、希土類イオンなど)に注目した場合、その安定性の違いは、各イオンの水和錯体の安定性、層状珪酸塩のsiloxaneがなす6員環との構造的適合性などに関連すると考えられている。また手法的には、熱力学的検討、イオンが吸着された粘土鉱物の層間距離、各種分光法、量子化学計算などにより研究が進められている。このうち我々は、主にEXAFS法を2:1型粘土鉱物(バーミキュライト、モンモリロナイト)に吸着されたK、Rb、Cs、Sr、Ba、La、Y、Luなどに適用することで、各イオンの吸着構造の系統的な違いを考察した。また吸着構造と関連がある吸着分配係数KdのpHおよびイオン強度依存性も調べた。

G09 水圏や土壌圏の環境地球化学
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