抄録
2000年のODP Leg 190において四国沖南海トラフから採取されたコアのうち,Site 1175, 1176, 1178の三本について有機地球化学分析を行った.全てのコアにおいて真正細菌の細胞膜脂質に特徴的なホパンポリオールを検出した.ホパンポリオールは官能基を多数持つため,その場で生きていた,または細胞が死んでからあまり時間が経過していない真正細菌に由来している可能性がある.顕微鏡による微生物細胞数の見積もりやバイオマーカーの炭素同位体比の結果と合わせて,地下生物圏の真正細菌の存在について検討した.