鳩間海丘における海底熱水の化学組成について,2007年における主成分陽/陰イオンの熱水端成分は2000年の調査と比較してCl−濃度がやや低いが,Na/Cl比などは変わっていないことから,以前よりも気相に富んだ熱水が噴出している可能性が示唆された。熱水中のCO2濃度はこれまで報告されている世界中の海底熱水系の中で世界最高の値を示した。炭素同位体とヘリウム同位体から,この豊富なCO2の起源は沖縄トラフに豊富に存在する堆積物と沈み込むスラブの影響を受けていることが示唆された。 メタンも世界最高レベルの濃度であり,メタン及びエタンの炭素同位体比から,微生物が生成したメタンが大きく寄与していることが示唆された。熱水からはメタン菌が得られていないことから,涵養域の堆積物中において強還元環境下で生成したメタンであると考えられる。