生命の起源において,アミノ酸の重合反応は重要なプロセスである.アミノ酸の重合速度には,pHが大きく影響していることが知られているが,pHの効果について定量的な解析はなされていない.そこで本研究では, Glyを用いて,pHがGlyの重合速度に及ぼす影響を定量的に検証した. NaOH水溶液を用いてpHが7から10の間で調整した100mMのGly水溶液を作成した.このGly水溶液を8-10mlずつテフロン反応容器に入れ,温度を140,160℃に保ったオーブンでそれぞれ1日から14日の間で加熱した.加熱後の水溶液を冷却した後,液体クロマトグラフィーでGly,GlyGly,DKPの濃度を測定した.実験結果より、GlyからいったんDKPが生成し, DKPからGlyGlyが生成していると考えられた.このGlyGly生成の1次反応速度定数は,pHが高くなるにつれて増加した.