抄録
浮遊性有孔虫殻のMg/Ca比は水温の良い指標と考えられており,酸素同位体比と組み合わせる事で,過去数十万年の水温・塩分両者を復元する試みも行われている.ところが,最近の局所分析法を用いた研究により,有孔虫の殻内でMg/Caが非常に不均質に存在することが新たに明らかになった.しかし,具体的にどのような生理的プロセスが元素分別を引き起こしているのかはわかっておらず,微小領域での元素分布パターンに関しても特定の種に関しておおまかに明らかになっているにすぎない.微小領域の元素分布は,石灰化作用に起因する元素分別に関する新たな知見が得られるだけでなく.バルク組成で報告されている様々な問題点を素過程レベルで解明できる可能性がある.本研究では浮遊性有孔虫のいくつかの種に関して微量元素組成を1ミクロンの空間分解能で分析し,微細殻構造と比較をおこなった.