2005年3月より北海道東部に位置する落石ステーションにおいて酸素/窒素比の現場観測を開始した。落石においては、酸素濃度とCO2濃度の和として表されるトレーサー、大気ャeンシャル酸素(APO)が、初夏に大きく変動する特徴を持つ。APOは陸域生態系による呼吸と光合成に対して変化しないように定義されていることから、初夏のAPOの変動は海洋からの酸素放出によるものと考えられる。2005年の4月から7月上旬までの期間に非常に高いAPOが観測された。数時間から数日程度の短期間変動の要因を解析するため大気塊のバックトラジェクトリー解析を行うと、落石岬で高いAPOが観測される際には大気塊が純一次生産量の高い海域の上空を輸送されていることが確かめられた。したがって、落石岬において観測される短時間のAPOの高まりは、海洋の春季ブルームによる活発な純一次生産により放出された酸素に起因することが示唆された。