抄録
日本はアジア大陸の東岸に位置しているため,偏西風の卓越する季節にはアジア大陸起源物質の輸送や沈着の影響を強く受けている。アジア大陸からのダストが地球環境に与える影響は大きいため,ダスト沈着量や季節・経年変動を見積もる必要がある。大気からのダストの除去過程及びその除去量を明らかにするためには,湿性沈着物のみならず,乾性沈着物についての評価をおこなうことが重要である。本研究では,風送ダストの輸送・変質・沈着過程を明らかにすることを目的として,湿性及び“乾性”沈着物を採取し,ダスト沈着量・水溶性化学成分を測定した。また,ダスト沈着量と関係する環境放射能(137Cs, 90Sr)の降下量の季節変動等についても述べる。