日本地球化学会年会要旨集
2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
セッションID: 1B17 10-06
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地震発生素過程、断層帯・活断層の化学、地震活動に関連した化学観測
台湾車籠埔断層注水実験 ― 化学分析から水の到着を監視する ―
*村上 雅紀田中 秀実馬 國鳳
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抄録

1999年台湾集集地震の震源断層である台湾車籠埔断層では、2本の研究調査掘削抗が掘られた。これらの掘削坑を用いて行われた注水実験では、観測抗において断層帯から直接水を採取し、水質とガス測定を行うことで注水抗から注入された水の到着を監視した。注水に水道水を用いることで、大気ガス成分を検出対象とした水の追跡調査を行うことができた。注水実験を開始してから3日後、観測抗地下水の溶存酸素濃度と酸化還元電位値が上昇した。同時に酸素、アルゴン、窒素のガス濃度が上昇したことから、注水に使用した水道水が観測抗に到着したと考えられる。注水を開始してから10日後には、観測抗での地下水流量が増加した。注水実験における地下水流量の測定結果から、断層帯の透水率が10-16 m2 程度であると考えられる。本研究ではさらに、物理学的拡散モデルの中に化学的拡散モデルを組み込むことで、注水実験における化学的な水の追跡も反映させた。

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© 2008 日本地球化学会
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