中央アフリカ,ガボン共和国に存在するオクロ,オケロボンド,バゴンベウラン鉱床は今から約20億年前に天然で核分裂連鎖反応を起こした,いわゆる天然原子炉であるため,放射性廃棄物の地層処分に関するナチュラルアナログとして注目されている。これまでの研究から,核分裂反応によって多量に生成された核分裂起源Mo,Tc,Ru,Rh,Pdは天然原子炉内で金属微粒子を形成することが報告されており,同様の金属微粒子は使用済み核燃料内でも見つかっている。 本研究では,オクロ天然原子炉から採取した試料中の金属微粒子について高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)を用いた局所同位体分析を行い,その形成過程や核分裂性遷移金属元素の長期間における地球化学的挙動について調べることを試みた。