抄録
温度圧力の増加にともないマグマ中への水の溶解度は増加し,それと同時にフルイド中へのケイ酸塩成分の溶解度も急増し,両者の性質は似てくる.そしてある温度圧力条件(第2あるいは,上部臨界終端点)以上になるとついには含水マグマとフルイドの区別が無くなり,完全に混和した1相になることが知られている.これまでの研究により,例えばSiO2-H2O系では約1 GPa(Kennedy et al., 1962),albite-H2O系では約1.5 GPa付近(Paillat et al., 1992)にこの第2臨界終端点が存在することが知られている.これらの研究では主に高温高圧実験の急冷回収試料の観察によりマグマとフルイドの混和・不混和を判定するといった手法であったため,第2臨界終端点近傍でフルイドとマグマの性質が似てくる状況の中で両者が高温高圧下で2相共存していたかどうかの判定には常に困難が伴うことになる.我々のグループはこの困難を軽減するため,西播磨の大型放射光施設(スプリングエイト)を使用し,試料を急冷回収することなく高温高圧状態のまま直接マグマとフルイドの混和・不混和を判定する新しい手法を開発し,現在までにペリドタイト-H2O系や玄武岩-H2O系等における第2臨界終端点を決定することに成功している(例えばMibe et al., 2007).また,最近では系にCO2を添加した実験を行い,第2臨界終端点に及ぼすCO2の影響も明らかになりつつある.本講演では,過去の第2臨界終端点に関連する研究のレビューと我々の最新の成果について紹介し,第2臨界終端点に関連すると考えられる様々な地球内部現象について考えてみることにする.