日本地球化学会年会要旨集
2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
セッションID: 3B08
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セッション7 炭化水素資源の地球化学
メタン生成古細菌による地下圏メタン生成活動
*鎌形 洋一
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キーワード: メタン菌, 地下圏
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抄録

メタン菌の最大の生態学的特徴は、広汎な生息域(ほぼあらゆる無酸素環境)、非常に広い生育温度特性(0℃付近から120℃付近まで)、全く例を見ない独自の代謝系、などにある。そして今、メタン菌の重要性は深部地下圏におけるメタンハイドレート形成、天然ガス形成などの関わりの中で広く認識されつつある。これまでの演者らや他の多くの研究から、地下圏天然ガス付随水、枯渇油田等に広く存在するメタン生成古細菌の大部分は酢酸あるいは水素・二酸化炭素をエネルギー源かつ炭素源とするものであることが知られている。これらの基質は有機物の生物的あるいは非生物的分解によってもたらされるものであり、このような有機物の分解とメタン生成が今日もなお起こりつつあることを示唆する多くの生物学的知見が蓄積されつつある。さらに地下圏に存在するメタン菌は地下圏独自の進化系統的位置を示すものが多い。 本講演では 1) メタン菌の生態学的分布ならびに地球規模での温暖化への関与、2) 他の微生物群には全く認められないいくつかの基幹代謝系、とりわけエネルギー獲得系とリンクしたメタン生成経路 3) メタン菌が他の微生物と構築している独自の共生系、について俯瞰したい。

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© 2011 日本地球化学会
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