抄録
海底に堆積する鉄(Fe)・マンガン(Mn)クラストには多くの元素が濃集しており、特にテルル(Te)は地殻中濃度に対して105倍程の濃集度を示している。Teは海水中で陰イオンとして存在することが示唆されており、鉄水酸化物への吸着、酸化反応が起こっている可能性があるが、実際にそのような反応を示唆する研究例は無い。本研究ではXAFSや吸着実験による結果から、海洋中のTe(IV)がマンガン酸化物によって酸化された後、鉄水酸化物へ吸着することが示唆された。今後 マンガン酸化物と鉄水酸化物の相互作用を踏まえた実験を行うことで、マンガンクラストへの微量元素濃集機構をさらに詳細に明らかにしていく。