地層処分場での地下環境は、地下岩盤(岩石・鉱物)と地下水で満たされた地下地質環境とグラウト材やコンクリート支保材など、人工材料とのインターフェースであり、また操業に伴う力学的擾乱や酸化還元反応などといった物理的・化学的変化を伴う環境(場)である。これまでの我が国の性能評価の概念モデルにおいては、これらの複合状態(より現実的な状態)の理解が明確ではなく、信頼性の高い安全評価体系を整備するためには、実環境をより現実的に示すことのできる情報(データ)と調査技術を早急に準備することが必要と考えられる。今回の報告では、このような背景のもと、我が国の地下研をはじめとする地下環境研究の今後の課題と進め方について、とくに理解すべきニアフィールドでの地球化学的現象との相関を念頭にその考え方を提示する。