抄録
同位体分別平衡における原子核の体積効果は重原子系で顕著になり、地球化学や宇宙化学の分野で重要である。これまで4成分相対論法に基づく量子化学的手法を用いて、同位体分別係数における核体積項を見積もる研究が行なわれている。4成分法は相対論的に正確であるが計算コストが高く、数原子分子への適応に限られるため、精度を落とさずにより大きな分子が計算できる理論の選定が望まれる。本研究では、4成分法の近似的な相対論法として有力な、Douglas-Kroll (DK) 法に基づく2成分法の精度を検証した。そこでスピン-軌道効果や高次の相対論効果の影響について、4成分法との比較を行った。ウラン分子系において体積効果の計算には、高次のDK変換項とスピン-軌道効果は共に寄与が大きく無視できない。無限次DK法にスピン-軌道効果を適切に考慮した理論を用いることで4成分法とほぼ同精度になり、計算コストを大幅に削減できることを明らかにした。