抄録
土星氷衛星エンセラダスは、南極付近の広範囲にプリューム活動を示すなど、地質的に活発であることが惑星探査によって明らかになった。このプリューム物質には、水の他に始原的な揮発性物質を含み、ナトリウムに富む粒子も存在することから、内部には液体の水の海が存在していることが明らかになっている。近年のプリューム粒子のその場分析によって、プリューム内には高濃度のシリカコロイドが含まれていることが明らかになった。本研究では、熱水反応室内実験と平衡計算を行ない、内部でシリカが生成する温度条件、pH、岩石組成を制約した。その結果、シリカを析出させるためには、岩石中の二次鉱物がサーペンティンやタルクが支配的になり、かつ温度が150℃以上という比較的高温が必要なることがわかった。内部で150℃以上という高温が実現するためには、土星系衛星がCAIs形成後、約200-400万年程度で形成する必要がある。