抄録
東京電力福島第一原子力発電所の事故より2年以上が経過したものの,福島県沿岸の浅海域を中心に底魚類,根魚類より100Bq/kg-wet以上の放射性セシウムが検出されており,その原因解明は喫緊の課題である.本研究では沿岸性底生魚類の放射性セシウム濃度への影響を評価する目的で実施した,福島県の夏井川等での観測結果より,河川,河口域,沿岸域における懸濁態および溶存態放射性セシウムの存在状態について議論する.沿岸域における溶存態137Cs濃度は低塩分,高濁度において高くなる傾向にあったのに対し,夏井川における溶存態137Cs濃度は沿岸域に比べ一桁低く変動が小さかった.懸濁態137Cs濃度ならびに塩分等環境データを総合すると,放射性セシウムは河口域において懸濁態から溶存態へと変質していることが推察された.