抄録
微小粒子の化学組成と雲凝結核(CCN)特性の関係を明らかにするため、海洋大気エアロゾルの船上観測を行った。本研究では、測定された粒径分布と過飽和度別のCCN数濃度を利用して化学分析の困難な微小粒子の化学組成を推定し、化学組成のCCNへの影響を気塊ごとに調査した。解析の結果、CCN活性化率の変動は粒径分布に強く依存していたが、化学組成の変化に起因する変動は殆ど見られなかった。活性化率の値は化学組成で決定されており、累積モードの粒子は、どの気塊でもシュウ酸程度の活性化特性を持っていた。また、より微小なAitkenモードの粒子は海塩や硫酸アンモニウムで再現性が高く、これらの物質で構成されている可能性が高いと明らかになった。