抄録
CH2I2などの海水中の揮発性有機ヨウ素化合物(Volatile organoiodine compound;VOI)は、海洋から大気へのヨウ素の主なキャリアーとして知られるが、生成過程などは明らかになっていない。本研究では、VOIと生物生産性や有機物分解との関係を明らかにするため、VOIと生物化学パラメータのモニタリングを行った。北海道噴火湾にて、VOI(CH2I2、CH3I、CH2ClI)濃度や、生物科学パラメータの定点測定を、2012年3月から2014年6月まで行った。春季の植物プランクトンブルームが終焉し、植物プランクトンが老化、死滅する時期に、VOIが多量に生成されることがわかった。CH2I2増分が2013年は2012年の半分であったことより、VOI生成量には経年差がみられた。