抄録
海底熱水環境は原始生命が誕生した場として古くから考えられてきた。本研究では,海洋堆積物を熱水と反応させ,溶出するアミノ酸の存在形態(単量体/高分子体)とその安定性について評価した。堆積物中のアミノ酸は加熱に伴って急速に熱水中に溶出し,24時間後には堆積物中に含まれていたアミノ酸の27.8%が溶出した。その際,高分子体として存在するアミノ酸の割合は67.0%であった。高分子体として存在するアミノ酸の割合は144時間後から徐々に増加し始め,240時間後には81.1%まで上昇した。アミノ酸の濃度は増加してないため単量体が再び高分子化している可能性は低い。しかし,熱安定性の高いタンパク質などが存在し,単量体アミノ酸よりも遅い速度で分解していることが示唆される。