日本地球化学会年会要旨集
2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
セッションID: 1E13
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G15 初期地球と生命起源の地球化学
数理モデルによる原生代初期酸素濃度進化の制約:全球凍結後のオーバーシュートと深海の富酸素化
*原田 真理子尾崎 和海田近 英一関根 康人
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キーワード: 酸素濃度, 全球凍結
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抄録
近年の研究から,原生代初期の酸素濃度上昇イベントが長期間のオーバーシュートを伴う酸素濃度安定レベル間の遷移であったらしいことが示されつつある.しかし,このような大規模な酸素濃度上昇のメカニズムは未だ解明されていない.本研究は,全球凍結からの脱出がオーバーシュートを伴う酸素濃度遷移の原因となる可能性を検証した.生物地球化学循環モデルを用いて全球凍結脱出後の気候回復過程と大気組成変化,海洋の応答を計算した結果,全球凍結脱出後の超温暖環境において海洋が富栄養化して生物生産と有機物の埋没が増大することにより,最大で現在のレベルにまで酸素濃度が到達する大規模なオーバーシュートが1億年程度継続することがわかった.これ伴い海洋は深層まで酸化的になるほか,陸上における硫化物の酸化的風化が促進されるために硫酸が海洋中に蓄積し,硫酸塩が沈殿する.これらの計算結果は原生代初期の地球化学・地質記録と整合的である.
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© 2014 日本地球化学会
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