日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
太古代の海洋微生物生態系と暗い太陽のパラドックス
*田近 英一
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p. 161-

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抄録

太古代において,太陽光度は現在の80%以下であったが,当時の気候は現在と同じかそれ以上に温暖であったと考えられている.大気中には二酸化炭素が現在よりもはるかに多く含まれていたはずであるが,太古代後期~原生代初期の大気二酸化炭素レベルは,必ずしも想定されるほど高くなかったとする推定があり,代わりにメタンが大量に含まれていたのではないかと考えられている.しかし,大気中に十分な量のメタンが存在できたのかどうかはよく分かっていない.本研究では,複数の酸素非発生型光合成生物の共存系を想定した海洋微生物生態系=生物化学循環=大気化学モデリングを用いて検討を行った結果,太古代においては,少なくとも二種類の酸素非発生型光合成細菌を主要な基礎生産者とする原始的な海洋微生物生態系が存在したことで,メタンの放出率が非線形的に増幅された結果,当時の温暖気候を実現するための必要条件が実現されていた可能性が示された.

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