火山噴火などによって植生が完全に失われた土壌の存在しない岩石上に、最初に遷移するのはコケ植物や地衣類である。これらの生物は、岩石上に水分を保持し岩石を風化させるが、コケ植物が岩石の風化に与える影響の詳細は明らかになっていない。本研究では、コケ植物が生息している石灰岩の鉱物組織と元素分布に着目しSEM/EDS観察を行った。SEM画像からコケなし部分は粒子サイズが3-10µm程度で、粒子サイズの分布が一様であったのに対し、コケあり部分では、上部は20µm程度の粒子が多く、下に向かうほど粒子サイズが細かくなる傾向が観察された。EDS解析からコケあり部分には、コケ植物が生育するために必要な栄養元素(鉄など)がコケなし部分よりも多いことが示唆された。