多変量解析により日本列島の深層地下水の特徴抽出を試みた.深層地下水データベースの約3万点のデータから,欠けの無いデータ6232点・14元素(Na, K, Mg, Ca, Li, Cl, SO4, HCO3, F, NO3, PO4, Br, δD, δ18O)を選び出し,白色化KCAと独立成分分析を併用した解析を行った.結果,日本列島に産する深層地下水の化学組成バリエーションを上手く説明できる8つのクラスタを得た:O-H同位体組成が天水線に沿うもの(2種:日本列島の天水線トレンド,南北/低地高地に分かれている),天水線と浅く斜交するトレンドを描くもの(3種),天水線から大きく離れるもの(3種).また,白色化KCAの結果は独立成分分析の結果とも対応しているため,典型的な有馬型塩水のクラスタと対応する独立成分を用いて,深部塩水の化学組成を推定したところ,先行研究で得られているものと近い傾向のものが得られた.