日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
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G05 海洋における微量元素・同位体
南海トラフの熊野灘海盆付加体堆積物中の水銀濃度
*後藤 葵益田 晴恵
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p. 46-

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抄録

水銀は、生物濃縮する元素であり、毒性の高い元素であることから生物地球化学的な観点からの研究は進んでいる。一方で、地殻内での挙動についてはよく理解されていない。本研究では、生物濃縮された水銀のリザーバーと考えられる深海堆積物中に存在する水銀の挙動や動態の解明を目的として、国際深海科学掘削計画にて紀伊半島の東南に位置する熊野海盆C0002地点で採取された付加体堆積物を用いて分析を行った。本研究で分析した堆積物中の総水銀濃度は62.7‐114.6ppb(平均89.2ppb)であった。この結果は、これまでに報告された主な湾域の表層堆積物の水銀濃度とほぼ同程度であり、人為汚染による高濃度の水銀が疑われる水域の値より小さい。また、深度に伴う総水銀濃度の変動幅は大きいが、深度が増すにつれて濃度が低くなる傾向があるかもしれない。このことは、陸源性ないしは沿岸性の堆積物で、遠洋域の堆積物よりも水銀濃度が高いことを示唆している。

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