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宇宙線生成核種7Be (半減期53.3日), 10Be (半減期136万年)は二次宇宙線と大気中の窒素、酸素との核反応で生成する。生成速度は大気の量と宇宙線強度により決定されるため, 全体の2/3が成層圏で生成し, 1/3が対流圏で生成している。生成後は酸化されエアロゾルに吸着し移動する。高層大気の7Be, 10Be濃度は高くなっており、大気中7Be, 10Be濃度と10Be/7Beは高層大気起源のエアロゾルのトレーサーとして用いることが出来る。また海洋に降下した7Be/10Beは表層の物質循環に時間軸を与える指標として用いることができると考えられる。陸上における7Be濃度の観測の例は多数存在するが、海洋大気の7Be濃度の報告例は極めて少なく、10Be濃度の報告は無い。そこで本研究は洋上大気の7Be, 10Be濃度を観測し、その分布の形成要因について考察を行う。