日本地球化学会年会要旨集
2022年度日本地球化学会第69回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
長野県・下諏訪の毒沢鉱泉における強酸性水質の成因
*柳澤 良亮榊原 厚一山本 淳一江島 輝美
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p. 199-

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抄録

酸性水の流出は水資源の重金属汚染の要因となることから,その成因を理解することが重要である.長野県の毒沢鉱泉は酸性水流出地点の代表例であり,その水は強酸性かつFe(2+)などの重金属イオンが多く溶存する.先行研究はあるものの,岩石からの元素溶出や水の起源の面から毒沢鉱泉の強酸性の要因を明らかにした研究は無い.本研究では,毒沢鉱泉の成因を明らかにすることを目的とし,酸素・水素安定同位体比をトレーサーとした解析と,毒沢鉱泉源流の岩石を用いた水・岩石反応試験を行った.その結果,毒沢鉱泉は天水起源であり,火山ガス等の熱源による影響は限定的であると考えられた.また,水と岩石が接触すると水のpHが低下し,電気伝導度が上昇した.これは,H(+)を含む元素が急激に岩石から溶脱することを示唆しており,毒沢鉱泉の水質は天水起源の水が岩石中の鉱物と反応することによって形成されると考えられた.

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