日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
海洋における溶存無機態リン酸の三酸素同位体組成定量
*折戸 達紀三步一 孝伊藤 昌稚中川 書子角皆 潤
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p. 20-

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抄録

溶存無機態リン酸(以下PO4と表記)は、海洋や湖沼といった水圏環境下において光合成を律速する栄養塩として重要な物質であり、PO4の濃集や枯渇などは、生態系の激変に直結する。そのため、各水圏環境におけるPO4の起源や循環、その経時変化などを理解することは、地球環境変化の生態系影響などを評価する上で重要である。水圏におけるPO4の起源や循環を解明するトレーサーとして2000年頃からδ18Oが用いられてきた。しかしながら、異なるδ18O値を持つ供給源が3種以上存在する場合は、δ18O値だけでは区別できない。また同じ供給源でもδ18O値の分散は大きいことが多かった。これに対して近年、PO4中の三酸素(16O,17O,18O)の相対比であるΔ’17O (=ln(δ17O+1) - 0.528×ln(δ18O+1)) 値を追加で測定して、これも指標として併用する試みが始まっており、陸水では成果を挙げている (Sambuichi et al., 2023)。しかし、PO4のΔ’17O値をトレーサーとして用いるには20×10-6以内の超高精度のΔ’17O定量が必要であり、これを実現するには150 µmol以上のPO4が必要である。このためPO4濃度が5 µMかそれ以下の海洋環境下では、未だにΔ’17O値の実測データが存在しない。そこで本研究は、海水中のPO4のΔ’17O値を定量することに世界で初めて挑戦した。

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© 2023 日本地球化学会
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