燃焼起源鉄を含む大気エアロゾルは、海洋に沈着すると、生物ポンプを介して海洋の炭素吸収に寄与する可能性がある。広島大生物生産学部附属練習船基地(広島県呉市、以降「呉基地」とする)は、鉄の固定発生源の一つである製鉄所に近接しており、大気に放出されて間もない燃焼起源鉄を観測するには格好のサイトであった。一方で、製鉄所は2021年9月末に高炉を停止したため、重要な固定発生源の消失が大気環境に与える影響を観測することができた。本研究では、2021年に実施した呉基地における大気エアロゾル観測の結果について報告する。