日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
X 線マイクロビーム分析を用いたカイアシ類外殻に付着したFe, Cu, Zn のEDTA 洗浄法の評価
*長谷川 菜々子高橋 嘉夫板井 啓明
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キーワード: XRF, XANES, カイアシ,
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p. 30-

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抄録

海洋生態系の鉄循環において、低次栄養段階生物の役割は重要である。動物プランクトンについては、細胞内の化学種と外殻に吸着・付着した化学種を区別する必要がある。細胞外微量金属の洗浄法については、X線を用いた非破壊個体別分析法を応用すれば、(1) 同一個体での除去効率比較、(2) 局所分布と化学形態の変化解析、が可能である。本研究では、放射光X線マイクロビームを用いた蛍光X線分析 (μXRF)、X線吸収端近傍構造分析 (μXANES) を用いて、生態必須微量金属 (Fe, Cu, Zn) の洗浄効率と化学形態について評価した。洗浄前後の個体で元素分布を比較した結果、Fe, Cuでは分布に大きな変化は見られなかった。一方、Znは頭部の濃集領域以外ではバックグラウンドと同等のカウント数まで減衰した。濃集領域におけるFe K端μ-XANESは、洗浄前後で大きな違いはなく、非晶質鉄 (III) 水酸化物に近いスペクトルが得られた。これは、脊椎動物において2価のFe (ヘム鉄) が多いことと対照的である。本研究の結果は、ヘム鉄に対して大過剰のフェリチンを保有している可能性を示唆しており、低次生態系生物の鉄獲得戦略や、動物プランクトン捕食者への吸収効率を議論する上で重要な結果と思われる。

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