日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G4 初期地球から現在までの生命圏の地球化学
初期地球における解糖系およびペントースリン酸経路の誕生に向けたグルコースリン酸およびホスホグルコン酸の生成
*平川 祐太掛川 武古川 善博
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p. 78-

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抄録

解糖系およびペントースリン酸経路は、ATPや様々な生体分子を生成する、現在の生命にとって不可欠な代謝経路である。非生物的に進行したこれらの代謝経路のような反応が、生命の材料分子の供給や、原始的代謝の一部となっていた可能性が議論されている。先行研究では、金属イオンを触媒とし、グルコースリン酸とホスホグルコン酸からこれらの代謝経路とよく似た反応経路の再現に成功している。しかし、初期地球におけるこれらの出発物質の生成過程は明らかになっていない。本研究では、ホルモース反応によるグルコースとグルコン酸の生成実験、リン酸化反応によるグルコースリン酸とホスホグルコン酸の生成実験を行い、LC/MSおよびGC/MS分析によってそれらの生成を確認した。この結果は、初期地球においてグルコースリン酸とホスホグルコン酸が生成し、金属イオンを触媒とした反応経路が、生命の材料分子の供給や、原始的代謝の一部となっていた可能性を示唆している。

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