日本列島におけるスラブ脱水流体(深部流体)の検出やその影響範囲の推定にはLiとB濃度やその同位体比が多く用いられてきた。しかし、これらのトレーサーを用いた既存研究の多くはフィリピン海プレートが沈み込む西南日本を主な対象としている一方、太平洋プレートが沈み込む東北日本ではほとんど事例がない。そのため、フィリピン海プレートと異なる性質を持つ太平洋プレートが沈み込む地域におけるLi・Bの深部流体のトレーサーとしての有効性は不明である。 本研究では,東北日本に位置する北海道を対象として、温泉水や地下水のLi・B濃度とその他の水質パラメーターを含む地球化学的特徴に基づいて分類し、それらをHeなどの希ガス成分や地質的背景などと組み合わせることで、北海道における深部流体の検出とその影響範囲について議論した。