日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
会議情報

S1 第5回日中シンポジウム(招待公演・基調講演のみ)
カンラン岩の炭酸塩化:流体包有物分析と水熱合成実験によるアプローチ
*川本 竜彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 244-

詳細
抄録

炭酸塩鉱物を含むカンラン岩はオフィカーボネイトと呼ばれる。海洋底の下の変成作用で生成されたオマーンと西アルプスのオフィオライトや、マントルウェッジで生成されたマリアナ前弧や三波川帯において、炭酸塩に流体包有物として海水に似た塩濃度を持つ流体が含まれる。西アルプスでは、タルク、アンティゴライト、カルサイトとマグネサイトが共存し(大澤陽介、研究中)、熱力学計算では、流体のCO2/(H2O+CO2)モル比は、0.1GPaで0.03以下、0.5G Paで0.002以下と低いことを示す。鉄を含む系での水熱合成実験を行い、熱力学計算によるCaO-MgO-SiO2-H2O-CO2系での相平衡図と比較して、鉱物安定領域の温度圧力条件に鉄が与える影響を理解できる。流体包有物の均質化温度から求められる温度圧力条件と、鉱物の安定領域を確認することによって、マントルの炭酸塩化の条件がより精確に理解できる。

著者関連情報
© 2024 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top