主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 43-
大気の挙動を理解する上で、Be-7 (半減期53 d)及び210Pb (半減期22 y)は有用なトレーサーである。大気浮遊じん及び降下物に含まれるBe-7及びPb-210濃度を岐阜県土岐市で2014年から毎月観測し、その変動を調べている。その結果、この10年間Be-7濃度には大きな変化が見られないが、Pb-210濃度に関しては、2022年夏以降、大気浮遊じん、降下物いずれも、それ以前と比較して高くなる傾向が見られた。大気浮遊じん中のPb-210濃度は夏に低濃度、春と秋に高濃度となる変動傾向を示した。一方、降下物中のPb-210濃度は冬に低濃度となる変動傾向を示した。2021年までのPb-210の月間平均濃度と2022年以降のPb-210の月間平均濃度を比較すると、大気浮遊じんでは0.77 mBq/m3から1.2 mBq/m3、降下物では19 Bq/m2から34 Bq/m2に上昇していた。本発表では、岐阜県土岐市で観測したPb-210の測定結果を報告し、Pb-210濃度の上昇の原因について後方流跡線解析や無機元素濃度の測定結果及び気象データを含めて議論する。