情報地質
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論説
地熱地域における温度検層データを用いた地温分布の3次元解析
松田 節郎小池 克明
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2004 年 15 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
データ量が限られ,位置が偏在する坑井での温度検層データから3次元的な地温分布を推定するために,ニューラルネットワークによる外挿とオーディナリ・クリギングによる補間とを組み合わせた。そのために,坑井での推定対象位置よりも浅い深度に位置する5つの連続した温度データを入力データ,そこでの温度を出力データとするニューラルネットワークを構築した。これに伝導型と対流型の温度変化パターンを学習させたところ,深度範囲の短い検層データに対しても,その2~10倍の範囲に及ぶ標高-2000 mまで温度を適切に外挿できた。次に,伝導型,対流型の坑井の位置にそれぞれ0,1というインディケータを与え,これに基づくセミバリオグラムをオーディナリ・クリギングによる補間で用いた。これと外挿した温度から同一標高での地温分布を推定したところ,温泉や火山という地表地熱徴候地に対応する位置で高温域が現れたので,外挿とセミバリオグラムの妥当性が確かめられた。さらに,推定地温分布の垂直断面図と熱水流動の数値シミュレーション結果とを比較したところ,本解析では地形や断裂系分布の情報は取り入れていないにも拘わらず,これらを考慮した数値解析結果と調和することがわかった。
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© 日本情報地質学会
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